第1節 社会資本の老朽化対策

第2章 時代の要請にこたえた国土交通行政の展開

第1節 社会資本の老朽化対策

 我が国では、昭和39年以降の東京オリンピックの頃に整備された首都高速1号線等、高度成長期以降に整備したインフラが急速に老朽化し、今後20年間で、建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなる見込みである。例えば、道路橋は、その割合が平成24年3月の約16%から、10年後には約40%、20年後には約65%と急増する。(図表II-2-1-1、図表II-2-1-2)。これら急速に老朽化が進むインフラを戦略的に維持管理・更新することが求められている。このため、24年7月に社会資本整備審議会・交通政策審議会の技術部会の下に社会資本メンテナンス戦略小委員会を設置し、今後の維持管理・更新のあり方について検討を進めるとともに、国土交通省を挙げて老朽化対策に取り組むための体制として、25年1月、国土交通大臣を議長とする「社会資本の老朽化対策会議」を設置し、総合的・横断的に検討を進め、同年3月、老朽化対策の全体像を、スケジュールを明確にした工程表として取りまとめた。(図表II-2-1-3)
 
図表II-2-1-1 建設後50年以上経過する社会資本の割合
図表II-2-1-1 建設後50年以上経過する社会資本の割合
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図表II-2-1-2 老朽化する施設
図表II-2-1-2 老朽化する施設

 
図表II-2-1-3 社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置 工程表(全体像・概要) 平成25年3月21日決定
図表II-2-1-3 社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置 工程表(全体像・概要) 平成25年3月21日決定

 当該対策として、まずは、24年12月に発生した中央自動車道笹子トンネル事故を踏まえ、今後1年を目途に集中的に点検を行うとともに、必要な修繕等を速やかに実施している。また、各々の施設の特徴を踏まえた適切な点検による現状確認と、その結果に基づく的確な修繕を実現するため、原則として25年度中に維持管理基準の改善を行うとともに、維持管理情報のデータベース構築等を進めている。
 あわせて、現場の維持管理の効率化等を推進するため、民間企業の持つ非破壊検査技術等の現場への試行的な導入や、維持管理ニーズを踏まえたIT等の先端的技術のインフラにおける実証等による検証にも積極的に取り組んでいる。これにより、維持管理・更新システムの高度化(ハード・ソフト一体の次世代型インフラシステムの構築)を図り、インフラ管理の安全性、信頼性、効率性の向上を実現し、新たな市場の創出、パッケージ型インフラ輸出の拡大等につなげていく。
 さらに、これら維持管理の現場を支える制度的な対策として、インフラの大部分を管理している地方公共団体に対し、マニュアルの提供や研修等を実施するほか、防災・安全交付金により、積極的に支援を進めている。同時に、建設産業の担い手の確保・育成のための支援や、地域との協働、PFI/PPPの活用によるインフラの維持管理・更新の推進等、制度面等の見直し・検討を進めている。
 こうした取組みに加え、内容の充実を図った長寿命化計画の策定等を通じ、26年度以降、老朽化対策について、本格的なPDCAサイクルを構築していく。メンテナンスの取組みを恒常的な軌道に乗せるため、25年を「社会資本のメンテナンス元年」として、老朽化対策に重点的に取り組む。


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