第1節 交通ネットワークの整備

2 幹線鉄道ネットワークの整備

(1)新幹線鉄道の整備
 新幹線は、我が国の基幹的な高速輸送体系であり、地域間の移動時間を大幅に短縮させ、地域社会の振興や経済活性化に大きな効果をもたらす。また、新幹線は安全(昭和39年の東海道新幹線の開業以来、乗客の死亡事故はゼロ)かつ環境にもやさしい(鉄道のCO2排出原単位(g-CO2/人キロ)は航空機の1/6、自家用車の1/9)という優れた特性を持っている。整備新幹線注1については、平成22年12月に東北新幹線(八戸・新青森間)、23年3月に九州新幹線鹿児島ルート(博多・新八代間)が開業した。北海道新幹線(新青森・新函館(仮称)間)、北陸新幹線(長野・金沢間)については、現在建設が進められているところであり、今後、予定通りの完成・開業を目指して着実に整備を進める。
 また、未着工区間であった北海道新幹線(新函館(仮称)・札幌間)、北陸新幹線(金沢・敦賀間)、九州新幹線長崎ルート(武雄温泉・長崎間)については、「整備新幹線の取扱いについて」(23年12月26日政府・与党確認事項)に基づき、着工に必要な条件をすべて満たしたことから、所要の手続を経て、24年6月29日に工事実施計画の認可を行った。
 中央新幹線については、22年3月より交通政策審議会において審議が行われ、23年5月、営業主体及び建設主体をJR東海、走行方式を超電導リニア方式、ルートを南アルプスルートとすることが適当であるとの答申が取りまとめられた。これを受け、「全国新幹線鉄道整備法」に基づき、国土交通大臣が営業主体及び建設主体としてJR東海を指名し、東京・大阪間について、整備計画の決定並びにJR東海に対する建設の指示を行った。JR東海は、東京・名古屋間の開業予定を39年、名古屋・大阪間の開業予定を57年とし、現在、東京・名古屋間について、環境影響評価法に基づく手続を行っている。
 
図表II-6-1-3 整備新幹線の現状
図表II-6-1-3 整備新幹線の現状

(2)在来幹線鉄道の整備
 広域的な地域間の連携の強化や地域の活性化に資する高速輸送体系の形成を促進するため、既存の鉄道施設を最大限有効活用して、線路の曲線改良、部分複線化等による在来幹線鉄道の高速化を図っている。平成24年度に、JR北海道の札沼線(桑園・北海道医療大学間)が全面電化開業され、高速化による所要時分短縮、混雑率緩和、冷房化率の向上等が図られたところである。

(3)技術開発の促進
1)超電導磁気浮上式鉄道(超電導リニア)
 超電導リニアについては、平成9年から山梨実験線において走行試験が行われ、21年7月に開催された「実用技術評価委員会」において、「超高速大量輸送システムとして運用面も含めた実用化の技術の確立の見通しが得られた」との評価を受けた。現在、山梨実験線の延伸更新工事が実施されており、完成後は、車両や推進コイル等について実用化仕様を最終検証するための走行試験が実施される予定である。

2)軌間可変電車(フリーゲージトレイン)
 新幹線と在来線の直通運転が可能となるフリーゲージトレインについては、平成23年10月に開催された「軌間可変技術評価委員会」において、「実用化に向けた基本的な走行性能に関する技術は確立している」との評価を受けた。今後は、現在設計・製作中の新たな試験車両を用いて、耐久性を検証するために、新幹線走行、軌間変換、在来線走行を繰り返す3モード耐久走行試験を実施する予定である。


注1 「全国新幹線鉄道整備法」に基づき、昭和48年に決定された整備計画に定められている5路線


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