第4節 交通分野における安全対策の強化

5 航空、鉄道、船舶事故等における原因究明と再発防止

 運輸安全委員会は、船舶事故等の発生場所や分析情報等について、インターネットで、1)報告書検索を容易にし、活用を促進する、2)予定航路、操業場所等でのリスクを容易に確認できる、3)操船・操業時等に注意すべき事項等を提供することを目的とした「船舶事故発生ハザードマップ」を公開した。

 
船舶事故発生ハザードマップ
船舶事故発生ハザードマップ

 事故調査等に関しては、22件の航空事故等調査報告書を公表し、このうち平成23年1月に熊本県で発生した上昇中の航空機が山腹に衝突したと推定される事故については、国土交通大臣に対し、有視界飛行方式注1における空中飛行事故を防止するため、最新気象情報に基づき全経路で有視界気象状態維持可能と判断した場合のみ出発するなどについて、操縦者団体や操縦者個人への周知の徹底を図る旨の勧告を行うなど、航空事故等に関して1件の勧告・1件の安全勧告を行い、3件の意見を述べた。
 また、13件の鉄道事故等調査報告書を公表し、このうち23年6月に北海道で発生した、信号機が停止現示にならない事象が複数回発生した重大インシデントについては、原因関係者に対し、異常発生時に適切な対応を取ることができる教育訓練を継続実施し、安全対策について検討するとともに、必要な措置を講ずることについて勧告を行った。
 さらに、1,136件の船舶事故等調査報告書を公表し、このうち23年9月に石川県で発生した引船転覆事故については、関係行政機関の長に対し、安全に対する総合的な管理体制を構築すること及び原因関係者に対し、引船の曳航作業の安全確保のための措置を講じ、その報告を求めることなどについて勧告を行うなど、船舶事故等に関連して6件の勧告・2件の安全勧告を行い、4件の意見を述べた。


注1 航空機の飛行方式の一つ。十分な視界がつねに確保されるような気象状態では、パイロットは空港及び空港周辺で航空交通管制の指示を受けるだけで、あとは独自の判断で自由に飛行できる。これを有視界飛行方式visual flight rulesといい、略してVFRとも呼ばれる。この方式による場合、飛行計画を最寄りの空港事務所に提出するだけで飛行でき、VFRに規定された高度であれば、自由にコースを選ぶことができる。


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