第5節 危機管理・安全保障対策

6 感染症対策

 新型インフルエンザ対策については、平成23年9月20日に政府行動計画が改定されたことを受け、国土交通省行動計画についても改定し、病原性の程度に応じた対策の機動的な実施等を可能にするとともに、運送事業者等社会機能維持事業者の協力を含め、省内一体となった取組み体制と対策を改めて明らかにした。当該改定の主なポイントは、1)病原性が高い新型インフルエンザの発生・流行に備え、運送事業者等社会機能維持の対策を強化し、2)都道府県ごとに発生状況を「地域未発生期」「地域発生早期」「地域感染期」の3段階に分けて対応することとし、3)鳥インフルエンザ対策を追加したことである。
 政府行動計画に基づき、海外発生期において、海外から国内への新型インフルエンザの侵入経路を制限・監視するため、国内検疫実施場所が集約される場合に、それが円滑に実施されるよう、空港・港湾管理者等の協力を促すとともに、国内感染期において、医薬品、食料品等の緊急物資の運送要請についての支援を行っている。また、社会機能維持者である運送事業者等においては、新型インフルエンザの発生前から事業継続計画の策定等の準備を積極的に行うことが重要であり、発生時には、事業継続計画を実行し、その活動に努めることとされており、運送事業者が事業継続及び感染拡大防止対策を実施していくため、事業継続計画の策定支援等、必要な支援を行っていくこととしている。
 また、新型インフルエンザ等に対する対策の強化を図り、国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とした新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という。)が24年5月に公布された。特措法は、発生時において、事業者一般は対策に協力し、事業実施において適切な措置を講じるよう努める責務を有するとされ、登録事業者においても、国民生活・経済の安定に寄与する業務の継続に努める責務を有し、運送事業者である指定公共機関等は、新型インフルエンザ等緊急事態において、その業務計画で定めることにより、旅客及び貨物の運送を適切に実施するための必要な措置を講じる責務を有する旨規定された。
 なお、対策の円滑な推進のため、25年5月の同法施行に向けて、政府の新型インフルエンザ等対策有識者会議が開催されているところである。


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