第1節 インフラ・システム輸出の促進

コラム 140年の時を経て、鉄道の母国・英国へはばたく我が国鉄道システム

 鉄道の母国・英国に学んだ日本の鉄道が新橋〜横浜間に開業して140年を迎えた、平成24年7月、英国の高速鉄道車両更新プロジェクト(IEP:Intercity Express Programme)について、日立製作所等の企業連合が受注しました。本プロジェクトは、英国鉄道史上最大規模であり、事業規模は約45億ポンド(約5,400億円(1ポンド120円で換算))、約600両に及ぶ車両を納入するとともに、約30年の車両保守業務等を行うものです。
 我が国の鉄道は、英国人技師の指導の下に建設され、機関車も英国から輸入するなど、英国の技術を導入してつくられてきた歴史があります。今日では、独自の技術開発と経験を積み重ね、新幹線においては、乗客の死傷者数開業以来48年間ゼロ、平均遅れ時間1分未満といった世界屈指の安全性と信頼性を誇るまでに成長しました。
 英国における鉄道システムの更新プロジェクトが構想されていた際には、欧州市場は世界の主要メーカーが席巻しており、我が国企業の進出は困難との見方もありました。しかし、我が国企業の高い技術力や地道な営業努力に加えて、国土交通大臣等関係閣僚によるトップセールス、国際協力銀行(JBIC)融資等公的金融支援の体制強化、日英間の鉄道担当局長級協議の定期開催を通じた、鉄道当局や関係企業間の関係づくり等を行い、受注が実現しました。
 本プロジェクトは、官民一体となった取組みが実を結んだ案件受注と言え、車両の納入にとどまらず、現地に建設する車両製造工場での雇用創出等を通じて、鉄道発祥の地である英国の社会経済にも大きく貢献するものです。
 今回の受注を足がかりに、優れた我が国の鉄道システムが世界にはばたけるよう、海外展開に向けた取組みをより一層強化してまいります。

参考)本プロジェクトの受注に向けた取組み
平成21年2月 日立製作所等の企業連合が、優先交渉権を獲得
平成22年4月 制度改正により、国際協力銀行(JBIC)の先進国向け高速鉄道事業への投資金融が可能に
平成22年5月 英国政権交代に伴い、本プロジェクトは歳出削減のための見直し対象に
→その後、総理、国土交通大臣等の関係閣僚が、英国への働きかけを実施
平成23年3月 英国運輸省が、日立連合との交渉再開と、正式契約締結を目指す旨を発表
平成23年9月 ハモンド英国運輸大臣(当時)が訪日し、新幹線の試乗等を実施
平成24年7月 日立製作所等の企業連合が、受注

 
IEP路線図
IEP路線図

 
IEP向け車両イメージ
IEP向け車両イメージ


テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む