第1節 インフラ・システム輸出の促進

コラム 空港分野におけるインフラ・システム輸出の推進〜ベトナム「ノイバイ国際空港」における空港整備、運営・管理等のパッケージ支援〜

 我が国は、経済成長に伴う急激な航空需要の増加、これに伴う空港容量不足といった課題を克服してきたなかで、空港の整備、運営・管理面において、世界的にも高い技術力と豊富な経験・ノウハウを蓄積してきました。国土交通省は、この強みを最大限生かすべく、空港の設計・建設事業の実施といったハード面の支援から、供用後の運営・管理、これらを支える人材育成といったソフト面の支援に至るまで、相手国のニーズを形にするトータルソリューションを提供すべく、空港分野におけるインフラ・システム輸出を推進しています。
 ベトナムの首都ハノイにおける、ノイバイ国際空港への協力について、同空港では、経済成長に伴い利用者が急増しており、空港の能力増強を図ることが急務となっていることから、新たに第2旅客ターミナルビル等を建設する事業を、平成24年2月より実施しています。これは、「ベトナム玄関口」となる首都の国際空港を整備するものであり、25年は日ベトナム国交40周年でもあるなか、日本とベトナムの親密な協力関係を示す象徴的事業の一つとなっています。

 
ノイバイ国際空港第2旅客ターミナル完成イメージ図
ノイバイ国際空港第2旅客ターミナル完成イメージ図

 本事業については、ノイバイ空港の管理者である国営ベトナム空港会社(ACV)の要望に基づき、ハード・ソフト両面から、国際協力の枠組みを活用して支援を実施しています。まず、空港の設計・建設事業(ハード面)については、事業資金に円借款が活用されるとともに、日本企業と地元企業のJVが工事を受注し、施工管理も日本企業が実施するなど、日本の空港建設技術・ノウハウが活かされています。また、空港供用後の運営・管理、これらを支える人材育成(ソフト面)については、ターミナル供用開始までに、航空会社等の関係者との調整や空港運営に必要な人材確保・トレーニングを終了させるべく、アクションプランを作成して進捗を管理し、必要な準備を空港建設工事と並行して進めています※。

※主なソフト面の協力項目は、1)第2旅客ターミナル供用準備委員会、2)専門家派遣、3)人材育成であり、平成24年に実施した支援内容は、具体的には以下のとおり。

1)第2旅客ターミナル供用準備委員会:日本側から、国土交通省、国際協力機構(JICA)、我が国の空港オペレータである成田国際空港(株)、ベトナム側からACVが参画し、「To Doリスト」(マネジメントコンセプトの決定、中期事業計画の策定、航空会社やテナントとの協定や契約の締結、各種訓練及び空港使用料の設定など約300項目)に基づいて、ターミナル供用に向けた組織体制、O&Mに関する実施計画の作成やその進捗管理を共に実施
2)専門家派遣:本事業で導入されるハイドラント方式の給油システムやデータシステム等、先進技術を取り入れたシステムに関して、ACVが自らそれらのシステムに係るO&Mを適切に実施できるよう技術支援を実施。給油システムの長期専門家として、職員の現地派遣を実施
3)人材育成:ACV関係者を日本に招へいし、空港のO&Mに関する研修、日本の国際空港の施設見学、ターミナル管理事業者との意見交換等を実施


テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む