第2節 国際協力・国際連携の取組みを通じたイニシアティブの発揮

コラム アジア初の議長国として交通サミットの成功に貢献〜国際交通大臣会議(ITF)〜

 ITFでは、毎年1回、加盟54箇国の交通担当大臣、企業トップ、学識経験者等が集まって、交通政策をめぐる課題について議論を行う「交通サミット」を開催しています。交通サミットは、交通担当大臣が集まり、交通分野全般をテーマとして議論を行う唯一の場であり、各国の経験を共有し、課題の解決を模索する場として活用されているほか、産官学の垣根を越えた人的ネットワーク、新たな協力関係の構築にも大きく貢献しております。各年のテーマは、世界的な交通に係る重要課題の中から選定されており、これまで、「気候変動問題」、「グローバリゼーション」、「イノベーション」、「社会」をテーマとして議論を行い、交通政策の新たな方向性を打ち出してきました。
 平成24年に開催されたサミットでは、「シームレスな交通」注1というテーマの下、我が国がアジアで初めて議長国を務め、重要な役割を果たしました。特に大臣セッションでは、国土交通大臣が議長を務め、加盟国大臣による政策宣言「シームレスな交通」の採択に大きく貢献しました。この宣言では、交通モード間の乗継ぎやインフラ不足などのシーム(継ぎ目)の問題を解消するために各国大臣は協調する旨宣言しています。
 また、全体会合では、国土交通副大臣が発表を行い、我が国における「シームレスな交通」の現状として、高速鉄道等の優れた都市間交通を紹介するとともに、多くの国が今後直面することになる高齢社会においては「シームレスな交通」を達成し、バリアフリー化した公共交通整備が必要である旨強調しました。
 さらに、海賊対策を議論するセッションでは、海賊問題の現状と課題について議論し、IMOで検討を進める旨の共同宣言をとりまとめました。
 また、ITFには、世界から著名なスピーカーが参加しており、イタリアの鉄道事業者Nuovo Transporto Viaggiatori最高経営責任者のGiuseppe Sciarrone氏や、OECD事務総長のAngle Gurría氏が基調講演を務めました。我が国からも、宮原日本郵船株式会社会長、葛西東海旅客鉄道株式会社(JR東海)会長、清野東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)会長等がスピーカーとして会議に参加し、我が国交通システム等を紹介するなど、議論を深めました。
 今後とも、我が国としては、議長国を務めた経験を活かして、主体的にITFに参画してまいります。

 
加盟国交通担当大臣等
加盟国交通担当大臣等

 
大臣セッションの様子
大臣セッションの様子


注1 円滑な交通を阻害している要因となるシーム(継ぎ目)をどのように除去するかについて、様々な角度から議論を実施しました。


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