◯1 本格的な人口減少社会への移行
我が国の総人口は、明治期以降毎年平均1%で増加を続けてきたが、現在は増加から長期的な減少過程に入り、2010年から約40年かけて、2050年にはほぼ50年前(1965年)の人口規模に戻っていくことが予想されている(図表1-2-1)。
図表1-2-1 我が国人口の長期的な推移
人口の推移を規模とは別に構造で見るため、従属人口指数(年少人口(14歳以下)と老年人口(65歳以上)の合計を、生産年齢人口(15歳以上64歳未満)で除して100を乗じたもの)を用いてその推移を見ると、高度成長期にあたり社会インフラが一斉に整備された1960〜70年代前半では低い水準であったが、1990年代後半から上昇をはじめ、2015年には64.0を超えるとされている。さらに、2060年には96.3にのぼり、働く人1人で子どもや高齢者1人を支える社会になると予想されている。
つまり、これからの人口の減少では、規模こそ50年前と同様であっても、その年齢構成は全く異なったものとなる(図表1-2-2)。
図表1-2-2 人口における年齢構成の推移
この従属人口指数の推移を圏域別に見ると、1970年では指数の最も高い九州圏でもおよそ2人で1人を支える社会であったのに対し、2040年には指数の最も低い首都圏でもおよそ1.2人で1人を支える社会となる見込みとなっている(図表1-2-3)。
図表1-2-3 従属人口指数の推移(圏域別)
また、市町村別に2010年時点における人口と2010年から2040年までの予想人口増減率との関係を見ると、人口の少ない市町村ほど人口減少率は高い傾向にあることがわかる(図表1-2-4)。
図表1-2-4 市区町村別人口と人口変化率・従属人口指数(変化分)との関係(2010年・2040年)
さらに2050年の人口を推計すると、2010年を100として2050年において50%以上人口が減る地点(1km2毎の地点)は全国の63%にのぼるほか、約2割が無居住化すると予想される(図表1-2-5)。
図表1-2-5 人口増減割合別の地点数
以上のように、これからの人口減少局面においては、少ない現役世代で多くの高齢者世代を支えるという構造がより強まってくる。そして、その傾向は人口の少ない地方都市において強くなる。今後、こうした現実を念頭に経済社会のあり方を考えていくことが必要となる。