第3節 交通政策の推進

◯2 地域公共交通の充実に向けた新たな制度的枠組みについて

 人口減少、少子高齢化が進展する中、特に地方部においては、公共交通機関の輸送人員の減少により、公共交通ネットワークの縮小やサービス水準の一層の低下が懸念されている。一方で、地域公共交通は、特に自動車を運転できない学生、高齢者等にとって必要不可欠な存在であり、また、地域の活力を維持し、強化するためには、コンパクトなまちづくりと連携して、地域公共交通の充実を図ることが重要である。
 しかし、地域公共交通を担う事業者の経営が更に厳しさを増す中、民間事業者に依存した従来の枠組みでは、これらの地域公共交通に対する社会的要請に応えることは困難である。このため、地域の総合行政を担う地方公共団体が先頭に立って、関係者と適切に役割分担しながら、まちづくりや観光振興などの観点も踏まえつつ、地域にとって最適な交通ネットワーク及び交通サービスを合意の下で実現していくための枠組みづくりが喫緊の課題となっている。
 
図表II-2-3-2 地域公共交通の現状と課題
図表II-2-3-2 地域公共交通の現状と課題

 こうした情勢を踏まえ、平成25年9月より、交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会を5回にわたり開催し、26年1月に中間とりまとめ「地域公共交通の充実に向けた新たな制度的枠組みに関する基本的な考え方」がとりまとめられた。
 これを受け、国土交通省では、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案」を第186回国会に提出し、26年5月に成立した。
 
図表II-2-3-3 新たな制度的枠組みによる公共交通の再編のイメージ
図表II-2-3-3 新たな制度的枠組みによる公共交通の再編のイメージ



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