◯2 公共工事の品質確保や入札契約の適正化
(1)総合評価落札方式注の見直し
平成17年4月に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(以下「品確法」という。)では、公共工事の品質は「経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない」と規定している。
品確法の施行を受けて総合評価落札方式の導入を推進した結果、国土交通省の直轄工事では19年度以降はほぼすべての工事において総合評価落札方式を適用しており、地方公共団体においても、すべての都道府県・政令指定都市、62.5%の市区町村が同方式を導入している。
適用の拡大を進める一方、競争参加者及び発注者の負担増大、同方式の基本的な理念からの乖離等の課題が顕在化する状況となったため、直轄工事では25年度から、施工能力を評価する「施工能力評価型」及び施工能力に加え技術提案を求めて評価する「技術提案評価型」に二極化するなどの改善策を実施した。
(2)地域維持型契約方式の導入
入札契約制度の一層の改善を図るため、平成23年8月に「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」の一部変更を閣議決定し、地域維持事業(災害対応、除雪、インフラの維持管理事業)の担い手確保に資するための新たな契約方式として「地域維持型契約方式」を導入し、各発注者における活用を促進している。
(3)施工段階における品質確保の取組み
工事目的物の品質確保を目的として、受発注者間の情報共有の推進や、施工プロセス全体を通じて工事実施状況等の確認を行い、検査に反映させる「施工プロセスを通じた検査」及び「施工者と契約した第三者による品質証明」を試行している。
(4)多様な入札契約方式等の検討
今後は、真に必要な社会資本整備とのバランスを取りながら、社会資本ストックの維持管理・更新を行うことが必要となっているが、これまで続いた建設投資の減少に伴い、受注競争が激化し、ダンピング受注等に起因する地域建設企業の疲弊、下請へのしわ寄せ、若手入職者の減少等により、社会資本ストックの将来の戦略的な維持管理・更新に対する懸念が生じているのが現状である。
また、社会資本の管理者においては、限られた人的資源の中で、インフラサービスへのニーズの多様化・高度化に適切に対応することが求められており、官民の役割分担を含めた業務のあり方の抜本的な見直しも必要となっている。
このような状況の中で、計画、調査・設計、施工、維持管理といったインフラメンテナンスや災害対応等の適切な実施を可能とする安定的な建設生産・管理システムの構築、官と民あるいは民と民の適切な役割分担、時代のニーズや事業の特性に応じた多様な入札契約方式の導入と活用等が求められている。
このため、「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」を平成25年11月より開催し、中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会におけるインフラの品質確保とその担い手確保のための入札契約制度改革の検討結果(26年1月に当面講ずべき施策をとりまとめ)も踏まえつつ、発注者の視点から社会資本整備の企画・立案から設計・施工・管理まで一連の執行プロセスのあり方及び諸課題への対応について検討を行っている。
さらに、26年5月に成立した改正品確法において、多様な入札契約方式の導入・活用が規定されており、技術提案交渉方式や段階的選抜方式などが位置付けられている。