コラム 小笠原諸島の西之島付近で39年ぶりに噴火
平成25年11月20日、小笠原諸島に属する西之島の沖合において、海上自衛隊の航空機が噴煙を視認したとの報を受け、海上保安庁の航空機が直ちに現場に赴いたところ、西之島の南東沖で噴火が起きており、直径約100mの新島が形成されていることを確認しました。西之島では、昭和48年から49年にかけての噴火以来、39年ぶりの噴火になります。
海上保安庁では、航海安全確保のため、直ちに航行警報を発出して付近航行船舶に注意を呼びかけるとともに、観測結果を火山噴火予知連絡会に報告するなど、噴火災害の防止に努めました。その後、新島からは盛んに溶岩が流出し、周辺の海を埋め立てて拡大を続けた結果、25年12月26日には新島が直径約500mとなり、西之島に接続したことが確認されました。26年3月24日現在、西之島の火山は今なお活発に活動を続けています。
火山活動により新たな陸地が形成されると領土及び領海等が広がる可能性があります。領海や排他的経済水域の範囲は海上保安庁が刊行する大縮尺海図に記載される低潮線注が基線となります。今後、火山活動が沈静化し安全が確認された段階で精密な水路測量を行い、新たに形成された陸地を海図に記載した段階で領海等の新たな範囲が確定します。
我が国で戦後、海底火山の活動で新島が形成された事例は4件ありましたが、西之島新島を形成した昭和48年の西之島での噴火を除くと、火山爆発や波浪の影響によりすべて短期間で消滅してしまいました。今回新たに形成された陸地は主に固結した溶岩からなるため浸食には強いと考えられますが、この陸地がどのような運命をたどるのか、海上保安庁は今後も監視・観測を続けていきます。