(1)鉄軌道の安全性の向上
過去の事故等を踏まえて、必要な基準を制定するなどの対策を実施し、これを鉄軌道事業者が着実に実行するよう指導するとともに、保安監査等を通じた実行状況の確認や、監査結果等のフィードバックによる更なる対策の実施を通じて、鉄軌道の安全性の向上を促している。
1)JR西日本福知山線列車脱線事故等を契機とした対策
「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」を改正し、曲線部等における速度制限機能付自動列車停止装置(ATS)、運転士異常時列車停止装置、運転状況記録装置等の設置を義務づけた。
2)JR東日本羽越線脱線事故を契機とした対策
「鉄道強風対策協議会」を開催し、強風対策についてソフト・ハードの両面から検討を進め、風速計を新たに増設するなど、鉄道における強風観測体制の一層の強化等を図った。
3)JR貨物函館線列車脱線事故を契機としたJR北海道の安全確保に向けた対策
詳細については
コラムを参照。
(2)踏切対策の推進
都市部を中心とした「開かずの踏切」
注2等は、踏切事故や慢性的な交通渋滞等の原因となり、早急な対策が求められている。このため、道路管理者と鉄道事業者が連携し、「踏切道改良促進法」及び「第9次交通安全基本計画」に基づき、立体交差化、構造の改良、横断歩道橋等の歩行者等立体横断施設の整備、踏切遮断機等の踏切保安設備の整備等により踏切事故の防止に努めている。
平成25年度は、「踏切道改良促進法」に基づき、立体交差化すべき踏切道とし7箇所、拡幅等の構造改良をすべき踏切道として25箇所、保安設備を整備すべき踏切道として50箇所の指定を行うとともに、連続立体交差事業等による踏切除却や歩道拡幅等の速効対策を推進した。
(3)ホームドアの整備促進
視覚障害者等をはじめとしたすべての駅利用者の安全性向上を図ることを目的に、駅からの転落等を防止するホームドアの設置を促進している(平成25年度末現在、583駅で設置)。「移動等の円滑化の促進に関する基本方針」(23年3月)、「社会資本整備重点計画」(24年8月)等を踏まえ、ホームドアや内方線付き点状ブロックの整備促進、車両ドア位置の不一致等の課題に対応した新しいタイプのホームドアの技術開発等ハード面の対策とともに、視覚障害者等への声かけを推進する「ひと声マナー」をキャッチフレーズとした鉄道利用マナーUPキャンペーンを展開する等ソフト面の対策にも取り組んでいる。