第4節 交通分野における安全対策の強化

◯5 航空、鉄道、船舶事故等における原因究明と再発防止

 運輸安全委員会は、近年、我が国商船隊のほとんどが外国人船員によって運航されていること、また、日本近海では外国船籍による事故が多発していることから、外国人船員を対象に平成25年9月から英語版船舶事故ハザードマップ(J-MARISIS)の運用を開始した(今後は、世界各地の船舶事故がわかるグローバル版の運用を開始する予定)。
 
英語版船舶事故ハザードマップ
英語版船舶事故ハザードマップ

 事故調査等に関しては、23件の航空事故等調査報告書を公表し、このうち23年7月に北海道で発生した基本計器飛行訓練中の航空機が山腹に衝突し、3名が死亡、1名が重傷を負った事故については、国土交通大臣に対し、原因関係者の安全管理体制を自律的かつ着実に運用できるまでの間、安全管理態勢の取組状況の実態を確実に把握するとともに指導を行う等の勧告を行うなど、航空事故等に関して4件の勧告・3件の安全勧告を行った。
 また、21件の鉄道事故等調査報告書を公表し、このうち23年5月に北海道で発生した列車脱線事故について、原因関係者に対し、踏面擦傷、剥離の長さの範囲が使用限度を超えたとして扱うべき車輪を使用することがないよう、車輪踏面の状況を把握するための適切な検査時期及び検査手法を確立し、その管理を徹底することの勧告を行うなど、鉄道事故等に関して3件の勧告を行った。
 さらに、1,151件の船舶事故等調査報告書を公表し、このうち24年9月に宮城県金華山沖で発生した衝突事故については、国土交通大臣及び水産庁長官に対し、漁船の船舶所有者等に対するAISの有用性の一層の周知その他早期普及に必要な施策の検討、船舶事故ハザードマップ等から、船舶が航行する海域における漁船の操業状況の入手、活用について意見を述べるなど、船舶事故等に関連して4件の勧告を行い、2件の意見を述べた。


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