◯5 水をはぐくむ・水を上手に使う
(1)水資源の安定供給
水利用の安定性を確保するためには、需要と供給の両面から地域の実情に応じた多様な施策を行う必要がある。具体的に、需要面では水の回収・反復利用の強化、節水意識の向上等があり、他方、供給面ではダム等の水資源供給施設の建設・維持管理、水資源関連施設の老朽化対策、危機管理対策、雨水・再生水等の利用による水源の複数化等がある。また、地下水の保全と利用のほか、水源地域を保全・活性化するため、「水源地域対策特別措置法」に基づいて、水源地域の生活環境、産業基盤等を整備し、あわせてダム貯水池の水質汚濁の防止等に取り組んでいる。
さらに、地球温暖化に伴う気候変動が指摘されており、近年及び今後の降雨量の変動幅の増大、積雪量の減少及び融雪の早期化等の気候変動への対応として、渇水時のリスク管理、需要マネジメントによる節水型社会の構築、老朽化・メンテナンス対策、耐震化、水資源の状況及び水資源対策への国民の理解を促進により渇水リスクの回避に向けた取組みを進めている。
(2)水資源の有効利用
1)下水処理水の再利用拡大に向けた取組み
下水処理水は、都市内において安定した水量が確保できる貴重な水資源である。下水処理水全体のうち、約1.3%が用途ごとに必要な処理が行われ、下水再生水としてせせらぎ用水、河川維持用水、水洗トイレ用水等に活用されており、更なる利用拡大に向けた取組みを推進している。
2)雨水利用等の推進
水資源の有効利用のため、雨水を水洗トイレ用水や散水等へ利用する取組みを促進している。これらの利用施設は、平成24年度末において約1,900施設あり、その年間利用量は約781万m3である。引き続き雨水利用の推進を図るため、雨水利用施設の事例や利用上の配慮事項等を含めた実態把握を行い、利用者との情報共有を進めている。
(3)安全でおいしい水の確保
我が国は水道が普及し、近年は、国民の安全でおいしい水へのニーズは更に高まってきている。このため、水道水源域におけるダム貯水池での水質保全対策、下水道の普及促進、高度処理の導入促進、合流式下水道の改善対策等を実施している。
(4)雨水の浸透対策の推進
近年、流域の都市開発による不浸透域の拡大により、降雨が地下に浸透せず短時間で河川に流出する傾向にある。降雨をできるだけ地下に浸透させることにより、豪雨による浸水被害等を軽減させるとともに、地下水の涵養、湧水の復活への寄与等、健全な水循環系の構築を目的として、流域貯留浸透施設の整備を税制措置等により、推進・促進している。
(5)地下水対策の推進
高度経済成長期に産業目的等で地下水が過度に汲み上げられた結果、各地で地盤沈下、塩水化等の地下水障害が発生した。地盤沈下が広範囲に発生した濃尾平野、筑後・佐賀平野、関東平野北部においては、地盤沈下防止等対策要綱に基づき、地下水の保全や利用の適正化等の取組みを行っている。