第1節 インフラシステム輸出の促進

◯5 インフラ輸出に取組む企業支援

 海外のインフラプロジェクトにおいては、近年、川下(管理・運営段階)を含めて発注される事例が増加する傾向にある。一方で、相手国では法令や商慣行の相違もあり、海外での事業においてトラブルを抱える企業も多く、多角的な視点から民間の活動を支援する必要がある。
 具体的には、
1)新興国等のインフラ事業では、厳しい財政事情を背景に、民間の事業参画・資金を期待する民間活用型が増加している。そのうち、交通や都市開発の分野では、長期的にはリターンが期待される一方で、長期にわたる整備、運営段階の需要リスク、現地政府の影響力という特性があり、これに適切に対応することが、本邦企業の参画に当たっての課題となっている。
 このため、日本再興戦略の一環として、我が国事業者の交通事業・都市開発事業の海外市場への参入促進を図るため、財政投融資の産業投資に585億円を新たに計上し、需要リスクに対応し、「出資」と「事業参画」を一体的に行う(株)海外交通・都市開発事業支援機構(以下「機構」という。)を創設することとし、平成26年4月に所要の法律が成立したところである。
 機構は、我が国企業と協調して現地事業体に出資等の資金供給を行うとともに、現地での事業への参画として、役員・技術者等の人材派遣や相手国側との交渉を行うこととしている。また、インフラシステム海外展開は国の重要な政策であることから、国土交通大臣が、関係大臣とも連携しつつ、適切に機構を管理していく。
2)また、国土交通省に「海外建設ホットライン」を設置し、海外建設プロジェクトにおける施工技術、施工管理マネジメントの課題に関する我が国企業からの相談に答えている。更に、寄せられた相談事項を踏まえ、我が国建設企業が安定的に海外展開できるよう、相手国政府との協議等を行っている。
3)加えて、海外建設市場データベースの拡充、在外公館からの建設産業情報の収集、建設・不動産企業の海外PPP事業への参画のための戦略検討を実施している他、我が国建設・不動産企業の海外におけるビジネス環境整備のための法制度整備を支援している。


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