第4節 地域公共交通の確保と観光振興

第4節 地域公共交通の確保と観光振興

(1)地域公共交通の確保
 東日本大震災によって被害を受けた地域公共交通に対しては、地域公共交通確保維持改善事業を活用して被災地のバス交通、乗合タクシー等の確保・維持を支援するため、同事業の補助要件の緩和等の特例措置を講じている。具体的には、地域をまたがる幹線バス交通ネットワークの確保・維持、また、避難所・仮設住宅・残存集落や新規住宅、病院、商店、公的機関等の間の日常生活の移動確保を目的とする地域内のバス交通等の確保・維持について支援している。なお、地域内のバス交通等に関しては、仮設住宅等の箇所数に応じて補助上限額を引き上げるなど、地域の実情に応じたよりきめ細やかな対応が図れるような内容としつつ、平成27年度まで支援期間を2年間延長し、継続的な支援を実施している。

(2)観光振興
 震災後の外国人旅行者の落ち込みが大きい東北の訪日需要の回復のため、海外主要市場における風評被害の払拭と当該地域の観光振興のためのPR等を継続して実施した。
 具体的には、海外消費者向けには、日本政府観光局のウェブサイト上等により空間放射線量等についての正確な情報発信や、観光地としての魅力を訴求するため、東北地域へ海外のメディアの招請、SNSを利用した東北の情報発信を実施。また、海外旅行会社向けには、東北地域への招請を行い、旅行商品の造成支援や、海外旅行博覧会等において、東北地域の観光情報の発信等を行った。
 国内観光需要の回復のために様々な取組みを実施しているが、特に、太平洋沿岸エリアにおいて、復興及び風評払拭のための広報展開、震災の記憶の風化防止、観光における復興のための地域体制づくり促進や、地域ならではの旅行商品・復興ツアーの造成促進等、発地・受地双方の取組みに対する支援を実施した。また、福島県の観光における早期復興を最大限に促進するため、同県が実施する風評被害対策及び震災復興に資する観光関連事業に対して補助を行った。加えて、訪問者の満足度向上や風評被害の払拭に貢献すべく、福島復興再生特別措置法により、福島県が独自に通訳案内士の資格を付与することができる特例を設け、24年3月に施行された。27年3月末現在、85名が登録されている。
 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、東北6県注1の26年年間値注2では、延べ宿泊者数が約3,900万人泊となり、震災前の22年と比べて1.5%増であった。ただし、観光客中心の施設注3の延べ宿泊者数で見ると、22年と比べ19.0%減となり、震災の傷跡が大きく国内の好況がまだ十分に浸透していない。


注1 東北6県:青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島。
注2 暫定値
注3 観光客中心の施設とは、宿泊者数のうち観光目的の宿泊者が全体の50%以上と回答した施設。


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