第2節 自然災害対策

コラム 「土砂災害防止法」の改正

 平成26年8月20日未明、広島市では集中豪雨に見舞われ、安佐北区・安佐南区では土石流やがけ崩れが発生し、土砂災害等による死者74名という甚大な被害が生じました。
 この土砂災害では、1)土砂災害の危険性が住民等に十分伝わっていなかったこと、2)あらかじめ避難勧告等が発令されていなかったこと、3)避難場所や経路が危険な区域内に存在する等、土砂災害からの避難体制が不十分な場合があったこと、等の課題が明らかとなりました。このような課題を踏まえ、「土砂災害防止法」の改正案が、第187回国会(臨時国会)に提出され、26年11月に成立、27年1月に施行されました。

 【改正の概要】
1)土砂災害の危険性のある区域の明示
 住民等に土砂災害の危険性を周知し、土砂災害警戒区域等の指定を促進するため、都道府県は、基礎調査の結果を公表することとなりました。基礎調査は、おおむね5年程度を目標として完了させることとしています。

2)円滑な避難勧告等の発令に資する情報の提供
 市町村長の適切な避難勧告等の発令に資するため、土砂災害警戒情報を法律に明記するとともに、都道府県は当該情報を市町村に通知し、あわせて一般にも周知することとなりました。当該情報が発表された場合、市町村長は直ちに避難勧告等を発令することを基本とすることを明確にしました。また、市町村が避難勧告の解除のための助言を求めた場合、国または都道府県は必要な助言を行うこととなりました。

3)避難体制の充実・強化
 安全な避難場所の確保等、避難体制の充実・強化を図るため、市町村地域防災計画において、土砂災害警戒区域ごとに、避難場所及び避難経路、避難訓練について定めることとなりました。あわせて、土砂災害警戒区域内の社会福祉施設や学校、医療施設等に対する土砂災害警戒情報の伝達等を定めることとなりました。
 また、市町村のハザードマップ作成を促進するため、都道府県は電子地図の提供等により支援するとともに、作成状況をとりまとめ国に報告することとしました。

4)国による援助
 国は、都道府県や市町村の土砂災害防止対策について、必要な助言等の支援に努めることとなりました。
 今回の法改正により、住民に土砂災害の危険性をできるだけ早期に周知することを推進するとともに、国・都道府県・市町村の関係がより具体的になりました。これらを踏まえ、行政機関の連携をさらに緊密なものにし、警戒避難体制の充実・強化を図るなど土砂災害防止対策を一層推進してまいります。
 
八木地区での被災状況
八木地区での被災状況


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