第2節 循環型社会の形成促進

■3 自動車・船舶のリサイクル

(1)自動車のリサイクル
 「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」に基づき、使用済自動車が解体されたことを確認する制度を導入している。また、「道路運送車両法」の抹消登録を行う場合、使用済自動車に係る自動車重量税還付制度も併せて実施し、使用済自動車の適正処理の促進及び不法投棄の防止を図っている。これらの制度により、平成25年度において解体が確認された自動車は1,501,084台である。

(2)船舶のリサイクル
 大型船舶のリサイクル(シップリサイクル)は、バングラデシュやインド等の開発途上国を中心に実施されてきており、船舶リサイクル施設において繰り返される死傷事故や海洋汚染等が問題視されてきた。これらの問題を解決するため、我が国主導の下、国際海事機関(IMO)を中心に議論がなされた結果、「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(仮称)」(シップリサイクル条約)が採択された。本条約においては、船舶と船舶リサイクル施設のそれぞれについて検査と証書の保持が義務付けられ、アスベストやポリ塩化ビフェニル(PCB)等の新規搭載の禁止等が求められている。本条約の施行を支援するための各種ガイドラインについては我が国の主導の下、策定作業を実施し、平成24年10月迄にすべてが採択された。
 我が国としては、シップリサイクル条約の早期発効を目指して、シップリサイクル条約の批准に必要な国内法制化の検討を進めている。また、条約の発効要件として、主要リサイクル国の批准が必要となっている。世界最大のリサイクル国であるインドとの間では、26年9月に行われた安倍内閣総理大臣とモディ首相との会談及び太田国土交通大臣とガドカリ海運大臣との会談において、インドの船舶リサイクル施設の改善に関する日本からの支援について要請があり、国土交通省では、インドの船舶リサイクル施設の改善のための技術支援を行い、同国の批准に向けた協力を進めることとしている。
 一方、個人所有のプレジャーボートは、そのほとんどが処理の難しい繊維強化プラスチック(FRP)製であるため、適切な廃棄処理ルートの確立が求められていたことから、FRP船のリサイクル技術を確立するとともに、処理ルートの構築に向けた取組みを行ってきた。この結果、17年からは(一社)日本マリン事業協会が主体となり、全国でFRP船のリサイクルに取り組んでおり、現在では年間約600隻が適切にリサイクルされている。


注 寿命に達した船舶は、解体され、その大部分は鋼材として再活用される。


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