第2節 技術研究開発の推進
■1 技術政策における技術研究開発の位置づけと総合的な推進
「日本再興戦略」改定2014(平成26年6月閣議決定)において、日本産業再興プランの柱の一つとして「科学技術イノベーションの推進」が掲げられ、「科学技術イノベーション総合戦略2014」(26年6月閣議決定)を強力に推進することとされるなど、「科学技術イノベーション」に期待される役割が増大している。
国土交通省では、「第4期科学技術基本計画」を含めた、これら政府全体の方針を踏まえつつ、第3期国土交通省技術基本計画に基づき、産学官の連携体制の一層の充実を図るとともに、分野横断的な技術研究開発を総合的に推進しており、その成果を公共事業及び建設・交通産業等へ積極的に反映している。
図表II-10-2-1 施設等機関、特別の機関、外局における平成26年度の主な取組み
(1)施設等機関、特別の機関、外局、独立行政法人における取組み
施設等機関、特別の機関、外局や研究を主たる業務とする国土交通省所管の独立行政法人における取組みは図表のとおりである。独立行政法人においては、公共性、透明性及び自主性を備え、適正かつ効率的に業務を運営するという趣旨を十分踏まえつつ、民間を含む関係機関との一層の連携強化を図りながら、それぞれの社会・行政ニーズに対応した研究を重点的・効率的に行っている。
(2)地方整備局における取組み
技術事務所及び港湾空港技術調査事務所においては、管内の関係事務所等と連携し、土木工事用材料及び水質等の試験・調査、施設の効果的・効率的な整備のための水理実験・設計、環境モニタリングシステムの開発等、地域の課題に対応した技術開発や新技術の活用・普及等を実施している。
図表II-10-2-2 研究を主たる業務内容とする国土交通省所管の独立行政法人における平成26年度の主な取組み
(3)建設・交通運輸分野における技術研究開発の推進
建設技術に関する重要な研究課題のうち、特に緊急性が高く、対象分野の広い課題を取り上げ、行政部局が計画推進の主体となり、産学官の連携により、総合的・組織的に研究を実施する「総合技術開発プロジェクト」において、平成26年度は、「災害拠点建築物の機能継続技術の開発」等、計5課題について、研究開発に取り組んでいる。
また、交通運輸分野においても、安全の確保、利便性の向上、環境の保全等に資する技術研究開発を、産学官の連携により効率的・効果的に推進しており、26年度は、「交通分野における高度な制御・管理システムの総合的な技術開発の推進」に取り組んでいる。
(4)民間企業の技術研究開発の支援
民間企業の研究開発投資を促進するため、試験研究費に関する税制上の特例措置による支援を行っている。
(5)公募型研究開発補助制度の推進
建設分野の技術革新を推進していくため、国土交通省の所掌する建設技術の高度化及び国際競争力の強化、国土交通省が実施する研究開発の一層の推進等に資する技術研究開発に関する提案を公募する「建設技術研究開発助成制度」では、政策課題解決型技術開発公募(2〜3年後の実用化を目標)、震災対応型技術開発公募(1〜2年後の実用化を目標)の2種類の公募を行い、平成26年度は新規6課題、継続11課題を採択した。
また、交通運輸分野については、広く産官学の知見を結集して真に必要な基礎的研究を国において重点的に実施する「交通運輸技術開発推進制度」において、26年度は「交通インフラにおける老朽化対策、事前防災・減災対策及び的確な維持管理・更新」等5つの研究テーマについて研究課題の公募を行い、新規2課題、継続5課題を採択した。