■6 ビッグデータの活用
(1)情報通信技術を活用した公共交通活性化
地方都市では、少子高齢化や過疎化等により公共交通機関の利用者数が減少し続けており、事業の維持確保のために返って公共交通の効率性が悪化し、地域生活者の自家用自動車への依存度が高まっている。一方、年少者や高齢者等移動手段を必要とする利用者にとって、公共交通機関は引き続き重要な役割を担っている。
このような状況を受けて、ビッグデータ及び情報通信技術(ICT)の活用の可能性と課題について調査・検討し、利便性の高い新たな公共交通サービスの創出等を図るとともに、インバウンド観光等の分野においても活用を推進することを目的として、平成25年度に「情報通信技術を活用した公共交通活性化に関する調査」検討委員会を立ち上げ、3カ年計画で検討を進めている。26年度は、データの種類と活用方法を整理するとともに、人の移動データに関する分析評価や「見える化」の手法、ICTを活用したアンケート調査手法を検討し、茨城県つくば市域、福島県域において実際のデータを用いたケーススタディの実施により、これらの有効性を検証した。27年度は、地方自治体や公共交通事業者が利活用できるよう、効率的なデータ収集・分析手法を提案するとともに、地方の路線バス事業を支援するため、ビッグデータを活用した汎用的な新しいビジネスモデルを策定することとしている。
(2)自動車関連情報の利活用
平成26年6月に閣議決定された「日本再興戦略 改訂2014」、「世界最先端IT国家創造宣言」を踏まえ、オーナー数、修理・整備履歴、事故履歴等の見た目ではわからない車両履歴情報を“見える化”し提供する自動車トレーサビリティー・サービスやテレマティクス等を活用して運転情報を取得し、安全運転の場合は保険料を引き下げるインセンティブを付与する安全運転促進保険等を重点テーマとして位置付け、これらの自動車関連情報を利活用した新サービスの創出等の実現に向けた具体的方策等について検討を行い、27年1月に「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン」を策定した。
今後は「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン」に基づき、重点テーマの実現を図るため、新たなサービス導入の効果検証や情報の取扱指針の検討を行う等、自動車関連情報の利活用を推進していくための環境整備を積極的に進めていく。