第1節 ストック効果最大化を目指して

■3 ストック効果最大化に向けた国土交通行政の取組み

 社会資本のストック効果の最大化を図ることを基本理念とする第4次社会資本整備重点計画が2015年9月18日に閣議決定された。国土交通省では、この計画を踏まえ、厳しい財政制約の下、「賢く投資・賢く使う」インフラマネジメント戦略へ転換し、ストック効果の高い事業への選択と集中の徹底と、既存施設を知恵と工夫により最大限活用する取組みを進めることとしている。また、計画のフォローアップの一環として、社会資本整備審議会・交通政策審議会交通体系分科会計画部会の下に、専門小委員会を設置し、ストック効果を最大化する取組み及びストック効果を見える化する取組みの検討を行うこととしており、2016年秋頃に報告をとりまとめる予定である。
 また、国土交通省では、インフラのストック効果を高める工夫に取り組んでいるところ、その一環として、国土交通大臣と日本経済団体連合会との懇談会を実施するなど、官民対話の強化に取り組んでいる。加えて、様々な分野でのストック効果を高める取組みを普及するために、インフラのストック効果を都道府県ごとにまとめた事例集(図表2-1-44)や、「賢く使う」取組み及び集約・再編の全国の先進事例集を作成し、公表するとともに、これらを紹介するパネル展を本省及び地方整備局で実施している。この他、関東地方整備局では、これまで実施した事後評価の記録や資料等を整理・保存(アーカイブ化)し、将来の事業展開等のために情報を共有するとともに、プロジェクトが完成するまでの取組みを一般の方向けに分かりやすく解説・紹介することを目的として、「関東インフラプロジェクト・アーカイブス」を作成している注44(図表2-1-45)。
 
図表2-1-44 ストック効果収集事例
図表2-1-44 ストック効果収集事例

 
図表2-1-45 関東インフラプロジェクト・アーカイブス
図表2-1-45 関東インフラプロジェクト・アーカイブス

 また、地域の活性化とともにインフラを身近に感じてもうらうため、インフラツーリズムの推進を行っている注45。インフラツーリズムでは、橋やダム等のインフラを観光資源として活用し、利用者や観光客にインフラを楽しんでもらいながら、そのストック効果をわかりやすく解説することで、理解を深めてもらうことができる(図表2-1-46)。
 
図表2-1-46 ダムの見学ツアー(湯西川ダムと川治ダム)
図表2-1-46 ダムの見学ツアー(湯西川ダムと川治ダム)

 このように、分かりやすい形でユーザーに情報提供・共有(「見せる化」)することで、インフラユーザーがよりストック効果を実感しやすくなると考えられる。


注44 http://www.ktr.mlit.go.jp/shihon/index00000018.html
注45 国土交通省では、2016年1月に全国のインフラツアーを紹介するポータルサイトを開設した。
 (http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/infratourism/index.html


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