■3 総合的な物流政策の推進
グローバル・サプライチェーンの深化や地球温暖化対策及び安全・安心の確保の必要性の高まりなど、我が国の物流を取り巻く社会経済情勢に迅速かつ的確に対応するため、平成25年6月に「総合物流施策大綱(2013-2017)」を閣議決定した。同大綱に基づき、関係省庁が連携して、総合的・一体的に物流政策の推進を図っているところであり、「国土のグランドデザイン2050」、「国土形成計画」、「社会資本整備重点計画」、「交通政策基本計画」等の計画・方針と一体となって取組みを進めている。
我が国の物流サービスは、トラック輸送を主体として、定時性、安全性、安定性、信頼性、荷主のオーダーに徹底的に応じるサービス等、きめ細かく、質の高い水準となっており、製造業のジャスト・イン・タイムを支え、コンビニエンスストア等の流通業の発展、宅配サービス等による国民生活の利便性の向上に貢献してきた。一方で、近年、人口減少・少子高齢化の進行、情報通信技術(ICT)等の革新、災害リスクの高まり、貨物の小口化・多頻度化の一層の進行と顧客ニーズの多様化等、物流を巡る社会経済情勢は大きく変化している。さらに、物流分野においては、特に労働力不足が顕在化し課題となっており、トラックドライバーの高齢化が進行しているほか、中長期的には人材の確保が更に困難になる可能性があり、早急に対策を講じる必要がある。
このような状況を踏まえ、今後の物流政策の基本的な方向性等について審議を行うため、交通政策審議会交通体系分科会物流部会を新たに設け、社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会と合同して審議を行い、27年12月に国土交通大臣に対し答申が行われた。同答申において提言されている「物流生産性革命の実現」と「未来へ輝く魅力的な物流への進化」を図るため、省力化と更なる効率化の促進、海外を含めた新たな市場の開拓や新たなサービスの展開等を進めるとともに、就業先としての魅力を向上させ、必要な人材を確保するための就業環境の整備、環境対策や災害対応力の強化等の社会的課題の解決への貢献等に取り組むこととしている。
さらに、制度面の見直しを行い、同答申を実現する観点から、我が国の社会経済活動を支える重要な社会インフラである物流システムの更なる効率化・最適化に向けて、大規模物流センター等の物流拠点の高機能化に加え、国や自治体、荷主、物流事業者等の多様な関係者の連携を進めることなどにより、輸送を含めた物流ネットワーク全体の省力化・効率化を推進する枠組みを整備するため、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を28年2月に国会に提出した。