第2節 地域活性化を支える施策の推進

コラム 1908年築港、現役で稼働中の三池港 世界遺産登録決定

 平成27年7月5日、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の世界遺産一覧表への記載が決定されました。「明治日本の産業革命遺産」は、19世紀後半から20世紀初頭にかけ、日本が工業立国の土台を構築し、後に日本の基幹産業となる製鉄・製鋼、造船、石炭産業といった重工業において急速な産業化を成し遂げ、西洋から非西洋への移転が成功したことを証言する産業遺産群により構成されます。その構成資産であり、1908年に築港された三池港(福岡県大牟田市)は現在も地域経済を支える港湾として稼働しています。
 有明海に面する三池炭鉱より産出される三池炭を効率的に輸送するため、大型船が着岸可能である三池港が大牟田海岸に整備されました。ハミングバード(はちどり)の形状を持ち、遠浅の有明海からもたらされる砂泥の影響を克服するために設けられた長大な防砂堤、潮位差を解消するための閘門を備えた船渠などの港湾施設が計画的に配置されています。
 築港を主導した團琢磨は開発に先駆け世界中の石炭積み出し港を視察、自然条件の厳しい有明海において、明治日本の最先端の港湾土木技術と英知を結集し、日本人技術者の手で三池港を整備しました。
 團琢磨は築港に際し、以下のように述べています。
 「石炭山の永久などということはありはせぬ。無くなると今この人たちが市となっているのがまた野になってしまう。築港をやれば、そこにまた産業を興すことができる。築港をしておけば、いくらか百年の基礎になる」
 まさにこの言葉通り、三池港は現在も地域の経済産業活動を支える港湾として稼働中です。港湾整備が企業立地や雇用の増加等、地域経済に長期にわたって効果をもたらすことを実証する事例です。
 
三池港全景
三池港全景


テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む