第2節 地域活性化を支える施策の推進

コラム 「バスタ新宿」〜新宿駅南口の利便性向上に向けた様々な基盤整備〜

 新宿駅南口に面する甲州街道(国道20号)は、徳川家康により江戸時代に整備された五街道のひとつであり、日本橋を起点とした甲州街道最初の宿場町として「内藤新宿」が開かれるなど、当時は大変な賑わいを見せていました。
 平成の現代においても賑わいは同様で、乗降者数全国1位である新宿駅の南口周辺は、多数の車や歩行者が行き交い、混雑が慢性化していたことから、混雑緩和や利便性向上のため、新宿駅南口周辺整備は喫緊の課題とされていました。

○甲州街道「新宿跨線橋」の架け替え
 鉄道路線をまたぐ甲州街道を支える「新宿跨線橋」は大正14年に架橋され、老朽化と耐震性の面から、かねてより架け替えが議論されてきました。その結果、平成6年度に架け替え事業が着手し、20年弱の年月を経て、24年度に架け替えが終了し、架橋から80年以上が経過し老朽化していた跨線橋は強靱な構造に一新されました。
 
老朽化した跨線橋の整備後の対比
老朽化した跨線橋の整備後の対比

○交通結節点の整備
 1日に約6万台の車と約14万人の歩行者が通行する新宿駅南口付近は、ゆとり空間が乏しく、タクシーや一般車の乗降等の影響による交通渋滞や交通事故が課題となっていました。また、首都圏を代表する交通結節の要衝でありながら、高速路線バス乗り場が新宿エリアに多数点在しており、鉄道と高速路線バス、タクシー等、交通機関相互の乗り換えの利便性が低い状況でした。このような状況から、「新宿跨線橋架け替え」で作業ヤードとして利用した人工地盤を有効活用し、交通結節点としての整備を行い、安全・安心で快適な歩行者空間を創出すると共に、交通結節点の機能を強化しました。
 
国道20号(甲州街道)の整備後の対比
国道20号(甲州街道)の整備後の対比

 
集約された新宿駅周辺の主な高速バス発着所
集約された新宿駅周辺の主な高速バス発着所

 
新宿南口交通ターミナルの施設概要(全体)
新宿南口交通ターミナルの施設概要(全体)

 27年10月に「新宿南口交通ターミナル」の愛称を一般公募、28年1月に「バスタ新宿」に決定し、同年4月4日に開業となりました。開業後は、交通渋滞や交通事故の減少、バスターミナル集約による利便性の向上、併設された商業施設等の賑わい等、本整備事業によるストック効果や、ITを活用した運行管理の効率化が期待されます。


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