■1 公共交通機関等における安全管理体制の構築・改善
各交通モードにおいてヒューマンエラーに起因すると見られる事故・トラブルが多発したことを契機に平成18年10月に「運輸安全マネジメント制度」が導入された。これは、「安全管理規程」の作成や、「安全統括管理者」の選任等の制度と相まって、運輸事業者において、経営トップの主体的な関与の下で現場を含む組織が一丸となって安全管理体制を構築・強化し、国がその状況を確認して、評価や助言をすることで、安全管理体制をPDCAサイクルによって継続的に向上させるものである。
27年度においては、運輸安全マネジメント評価を延べ534者(鉄道77者、自動車198者、海運244者、航空15者)に対して実施した。
図表II-7-4-1 運輸安全マネジメント制度の概要
また、25年10月に同制度の実施の義務付けを全貸切バス事業者等に拡大(約4,200者)したことを踏まえ、これまで膨大な小規模貸切バス事業者等に対する効率的かつ効果的な評価手法を新たに検討し、試行的に実施してきたところ、28年度より、この効率的かつ効果的な評価手法を用いて、小規模貸切バス事業者に対する評価を本格化することとしている。
さらに、同制度への理解を深めるため、国が運輸事業者を対象に実施する運輸安全マネジメントセミナーについては、27年度において2,468人が受講した。また、中小事業者に対する同制度の一層の普及・啓発等を図るため、25年7月に創設した認定セミナー制度(民間機関等が実施する運輸安全マネジメントセミナーを国土交通省が認定する制度)に関しては、27年度において6,874人がセミナーを受講した。
図表II-7-4-2 大手事業者とその他の事業者の取組み状況の相違(平成26年度)
運輸安全マネジメント制度については、今後さらに制度の実効性向上を図るとともに、そのコンセプトをすべての事業者へ普及することを目指すなど、充実強化を図ることとしている。