第2節 国土交通省における新たな技術・サービスの社会実装の取組み状況

コラム 工業高校等における造船教育の充実を後押し

 造船工学を中心に教育を行う造船コース等を有する高校は、ピーク時の1970年代には約20校ありましたが、2011年には3校注1にまで減少しました。近年、日本造船業の世界シェアの拡大に伴って、造船業集積地域では工業高校等への造船教育強化のニーズが再び高まっており、2016年度には愛媛県立今治工業高校に造船コースが創設され、2017年4月には香川県立多度津高校にも創設が予定される等の具体的な動きが出ています。
 その先駆的事例となった今治工業高校では、従来の座学・校内技能実習に加え、地元造船・舶用企業、今治地域造船技術センター(共同で技能研修を行う拠点)、海上技術安全研究所、愛媛大学等の協力による講師派遣、現場実習、3次元CAD注2を用いた設計実習等が行われ、同校の造船教育をサポートする体制が構築されています。こうした地元企業・自治体・研究所・国等の産学官連携による取組みの先進性が評価され、今治工業高校は、文部科学省から2016年度の「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール注3」として指定されました。
 
図表2-2-15 造船所での技能実習
図表2-2-15 造船所での技能実習

 さらに、こうした造船教育を推進するため、国土交通省も、2016年度に工業高校・造船企業・業界団体等と連携し、高校生向けの魅力ある新たな造船教材を作成し、高校における造船教育の充実を後押ししています。また、2017年度より高校における造船教育強化と造船教員の持続的な教育体制構築を目的とした造船教員の養成プログラムの作成等に協力していくこととしています。
 
図表2-2-16 造船所見学
図表2-2-16 造船所見学

 
図表2-2-17 造船所で活躍する卒業生との座談会
図表2-2-17 造船所で活躍する卒業生との座談会


注1 下関工科高校(山口)、須崎工業高校(高知)、長崎工業高校(長崎)
注2 コンピューターを活用して行う設計・製図
注3 社会の第一線で活躍できる専門的職業人の育成を目的として、先進的・卓越した取組を実施する専門高校10校を文部科学省が指定。2016年度は55校が応募。


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