第5節 観光政策の推進

第5節 観光政策の推進

■1 「明日の日本を支える観光ビジョン」及びそれを踏まえた新たな「観光立国推進基本計画」の着実な推進

 近年、訪日外国人旅行者数は、急速な拡大を遂げてきた。東日本大震災が発生した平成23年の訪日外国人旅行者数は、前年より3割近く落ち込み622万人であったが、その後は順調に増加し続け、28年には24年の836万人から3倍近くまで増加し、2,404万人に拡大した。また、これに伴い、28年の訪日外国人旅行消費額は、24年の1兆846億円から約3.5倍の3兆7,476億円となり、観光は、我が国経済を支える産業へと成長しつつある。
 こうした観光をめぐる近年の情勢の変化を踏まえ、29年3月28日、観光立国推進基本法(18年12月20日法律第117号)第10条の規定に基づき、観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、「世界が訪れたくなる日本」への飛躍を図るため、29年度から32年度までを計画期間とする新たな「観光立国推進基本計画」を閣議決定した。
 本計画では、28年3月30日に、内閣総理大臣を議長とする「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」において策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」に掲げた目標及び施策を踏まえるとともに、民間有識者、関係団体、地方自治体等各方面からの様々な意見を頂きながら、策定した。具体的には、目標については、観光ビジョンで掲げられた訪日外国人旅行者数や消費額等の5つの目標に加え、消費額の多い傾向のあるビジネス旅行者を積極的に取り込む観点から、国際会議の開催件数に関する目標を設定し、相互交流の意義を踏まえて若年層も含めた日本人の海外旅行者数に関する目標を盛り込んだ。また、それらの目標達成のため、国際競争力の高い魅力ある観光地域の形成、観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成、国際観光の振興、観光旅行の促進のための環境の整備の柱立てのもと、それぞれに対応した施策を集約した。
 28年には訪日外国人旅行者数2,000万人を達成したが、あくまで通過点にすぎず、今後ますます世界中で人の往来が活発化する中で、多くの人々から日本が観光のデスティネーションとして選択され、二度三度とリピートしたくなる「観光先進国」を目指し、政府一丸、官民一体となって取り組んでいく。


テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む