第2節 自然災害対策

コラム 平成28年8月の一連の台風に対する緊急的な治水対策の推進

■平成28年8月の一連の台風による被害
 平成28年8月に北海道に来襲した一連の台風により記録的な大雨となり、十勝川水系など多くの河川において堤防の決壊や溢水(いっすい)などが発生しました。その結果、家屋や農地の浸水、道路冠水、橋梁損傷などの甚大な被害が発生しました。
 
平成28年8月の一連の台風による被害

 また、岩手県では、台風第10号の影響により、沿岸部を中心に記録的な大雨となり、小本川(おもとがわ)(岩泉町(いわいずみちょう))などで甚大な浸水被害が発生しました。

1)台風第9号、第11号による被害状況
 直轄管理河川の石狩川では、溢水により、深川市、旭川市において家屋が浸水するとともに、約120haの農地等が浸水し、常呂川(ところがわ)では越水により、北見市において約470haの農地が浸水するなどの浸水被害が発生しました。また、北海道管理河川の石狩川水系辺別川(べべつかわ)等においても、堤防の決壊等により浸水被害が発生しました。
 
常呂川における被害状況
常呂川における被害状況

2)台風第10号による被害状況
 直轄管理河川の石狩川水系空知川(そらちがわ)では、堤防決壊により南富良野町の市街地が約130ha浸水するなどの被害が発生しました。
 岩手県管理河川の小本川水系小本川では河川沿いの狭隘な低平地の大部分が浸水したことや記録的な水位上昇に伴い、要配慮者利用施設等で人的被害が発生しました。
 
小本川における被害状況
小本川における被害状況

■緊急的な治水対策の推進
1)北海道緊急治水対策プロジェクト
 平成28年8月に北海道に来襲した一連の台風により大きな被害を受けた河川を中心に、関係機関が連携して、ハード・ソフト一体となった緊急的な取組みを「北海道緊急治水対策プロジェクト」として平成28年度より実施しています。
 ハード対策では災害復旧に加え、再度災害防止を目的とした堤防整備や河道掘削等について、平成31年度を目途に緊急的・集中的に実施しています。併せて、掘削土を農地復旧に活用し、被災地域の早期復旧・復興を図ります。
 ソフト対策では住民の避難を促すため、国管理河川における洪水情報のプッシュ型配信の推進等を、関係機関と連携して実施していきます。今後、各一級水系の道管理区間に加え、二級水系においても都道府県及び市町村等からなる協議会を設置し、中小河川も含めた減災対策の検討・取組を進めます。

2)岩手県管理河川における緊急的な治水対策
 岩手県における甚大な浸水被害に対する緊急的な治水対策として、河川激甚災害対策特別緊急事業、河川災害関連事業、河川災害復旧等関連緊急事業等をおおむね5年間で実施していきます。
 ハード対策では再度災害の防止を図るため、輪中堤や連続堤の堤防整備、河道掘削等を実施します。なお、小本川においては土地利用の状況等を踏まえ、輪中堤の整備と併せて土地利用に一定の規制をかけることにより、効率的に治水対策を実施することとしています。
 ソフト対策では住民の避難を促すため、水位周知河川の指定や水害リスク情報の周知等を関係機関と連携して実施していきます。
 
輪中堤区間における土地利用の規制のイメージ
輪中堤区間における土地利用の規制のイメージ


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