はじめに

はじめに

 イノベーションとは、単なる技術革新や新技術の開発ではなく、社会システムや制度全体を含めて、革新・刷新することにより、新しい価値を次々と生み出していくことである。
 これまで人類はイノベーションによって新たな技術やサービスを創出し、暮らしや経済、社会に大きな変化を起こしてきた。特に近年、世界におけるイノベーションのスピードは目覚ましく、技術やサービスは日々進化を続けながら、次々と新しい価値を生み出している。
 歴史に目を移すと、例えば18世紀後半より続く産業革命はイノベーションの歴史ともいえ、軽工業、重工業、情報通信などの産業を発展させ、現在は産業を超えて様々なものがつながる第4次産業革命が進行中である。
 現在の我が国は、人口減少や少子高齢化をはじめ、激甚化する災害、加速するインフラ老朽化、厳しい財政状況など多くの課題を抱えているが、この現状を前向きにとらえれば、イノベーションを創出し世界に先駆けて新たな社会システムを創造することにより、これらの課題を克服し、持続的な経済成長を実現していくための道筋をつける好機であるとも言える。
 このような状況下において行政には、限られた資源を効果的に配分することにより民産学とともにイノベーションの創出に積極的に関与し貢献していくこと、世界中で次々と創出されるイノベーションを日本社会でどのように受容していくのかそのバランスをとること、この2点が重要な役割として求められていると言えよう。
 以上の背景及び問題意識を踏まえ、平成28年度国土交通白書の第I部では、「イノベーションが切り拓く新時代と国土交通行政」をテーマとし、我が国が抱える課題の克服と持続的な経済成長のカギとなるイノベーションを推進する国土交通行政の取組みについて紹介するとともに、関連する業界も含めた現状の課題や今後求められることを分析・紹介し、国民意識調査の結果を引用しながらイノベーションから産まれる将来展望についても紹介していく。

 第II部では、平成28年度の国土交通行政の各分野の動向を政策課題ごとに報告する。


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