第1節 技術の更なる進歩等がもたらす社会の変化

第1節 技術の更なる進歩等がもたらす社会の変化

 第1章第2節で述べたように、平成の時代を通じて情報通信技術(ICT)等が社会に浸透し、さらには未来につながる新技術として、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)等が大きく発展し、現在も進歩を続けている。例えば、AIの市場規模について、2015年は3兆7,450億円であったが、2030年には86兆9,620億円と、約23倍に拡大することが予想されている注1
 このような新技術等がもたらす未来の社会像として、超スマート社会(Society 5.0)という概念が提唱されている注2。Society 5.0では、IoTで全ての人とモノがつながることによる知識・情報の共有、AIによる必要な情報の必要なタイミングでの提供、ロボットやドローンによる様々なニーズへの対応等が可能となる。このことにより、これまでの社会が抱えていた少子高齢化等の課題や困難が克服されると期待される(図表I-3-1-1)。また、2015年に国連において採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)注3」は、住み続けられるまちづくり等、2030年までの国際目標を定めるものであるが、我が国におけるSociety 5.0の実現と世界への発信は、この目標の達成に貢献するものであると期待される。
 
図表I-3-1-1 Society 5.0で実現する社会
図表I-3-1-1 Society 5.0で実現する社会

 このような流れの中、将来の社会では、働き方や暮らし方に制約を与えていた「時間」と「場所」から人々がより自由になり(解放され)、多様な生活スタイル・ワークスタイルが選択可能となることが想定される。さらには、新たに生まれる「自由時間」を活かした、充実したヒューマンライフ(生活)の実現が求められていくとも考えられる。
 そこで、本節では、人々を「時間的・場所的な制約」から解放すると思われる新技術等とそれらによって想定される変化について概観する。
 
図表I-3-1-2 SDGsにおける17の国際目標
図表I-3-1-2 SDGsにおける17の国際目標


注1 EY総合研究所(株)による推計
注2 「第5期科学技術基本計画」(2016年1月に閣議決定)
注3 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標。「誰一人として取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、貧困・飢餓・エネルギー・都市等、17のゴール・169のターゲットから構成される。


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