■1 観光資源の魅力を極め、地方創生の礎に
(1)魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放
首都圏外郭放水路の見学会の開催回数を拡大するなど、インフラを観光資源として活用・開放し地域振興を図るインフラツーリズムを推進した。
(2)景観の優れた観光資産の保全・活用による観光地の魅力向上
良好な景観の形成や観光振興、安全で快適な通行空間の確保、道路の防災性の向上等の観点から、低コスト手法普及に向けたモデル施工の実施、技術マニュアルの整備などにより無電柱化を推進した。
また、無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的、かつ迅速な推進を図るため、平成30年4月に無電柱化推進計画を策定した。
また、全都道府県・市区町村を対象にした講習会等の開催等により、主要な観光地の市町村等における景観計画の策定を促進するとともに、国営公園で案内板の多言語化等を実施した。
河川においては「河川敷地占用許可準則」の緩和措置等を活用し、民間事業者等と連携してオープンカフェ・川床の設置など、河川空間とまち空間を融合させ、旅行者を魅了する空間形成を推進した。
(3)古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進
地域に眠る古民家等の歴史的資源を宿泊施設等に活用し地域の活性化に繋げるため、関係省庁と連携しながら、ワンストップ窓口での地域からの相談への対応や、専門家の派遣等の支援を行っている。
また、新たに創設した小規模不動産特定共同事業やクラウドファンディングの具体的な事業手法を提示するガイドラインの策定等により、小口投資を活用した古民家等の再生を促進している。
(4)新たな観光資源の開拓
訪日外国人旅行者の地方誘客、滞在時間の長期化による旅行消費の拡大に向け、地域固有の文化、自然等の観光資源を活用した新たな体験型観光の充実のための事業を実施した。
(5)広域観光周遊ルートの世界水準への改善
訪日外国人旅行者等の各地域への周遊を促進するため、調査・戦略策定からそれに基づく滞在コンテンツの充実、広域周遊観光促進のための環境整備、情報発信・プロモーションといった、地域の関係者が広域的に連携して観光客の来訪・滞在促進を図る取組みを支援している。さらに、地域の魅力・課題の発見や施策の提案、関係者のスキル向上等を支援するため、各地域へ専門家派遣を行っている。
また、アニメや忍者等、ある一つの観光資源で地方誘客を図るため、ネットワーク化した各地域を「テーマ別観光による地方誘客事業」により支援している。
他にも、酒蔵ツーリズム推進の一環として、平成29年度税制改正において「輸出酒類販売場制度」を創設し、外国人旅行者向け消費税免税店のウェブサイトに酒税免税を受けることのできる酒蔵等を掲載することで同制度の周知を図っている。
さらに、平成30年12月、訪日外国人の移動の実態(利用交通機関や周遊ルート等)が把握できるFF-Dataについて最新1年分(29年分)を公表した。これにより、周遊ルートの分析や戦略的なプロモーション施策の企画立案・見直しへの活用が期待される。
このほか、ビッグデータを活用しつつ、既存の道路や駐車場の容量・空間を賢く使い、即効性のある渋滞対策の強化に取り組んだ。具体的には、北海道富良野美瑛地域では幅広路肩を活用した駐車待ち車両と通過交通との分離や臨時駐車場を活用したパーク&バスライドによる渋滞対策を行った。
(6)「観光立国ショーケース」の形成推進
訪日外国人旅行者を地方へ誘客するモデルケースを形成するため、釧路市、金沢市及び長崎市の3都市を選定し、各都市の策定した「観光立国ショーケース実施計画」を推進するため、観光資源の磨き上げ等を支援している。
(7)東北の観光復興及び各自然災害への対応
東北の観光復興の取組みを一層推進するため、平成28年を「東北観光復興元年」とし、各種施策を推進している注1。
また、2018年は「平成30年台風第21号」、「平成30年7月豪雨」、「平成30年北海道胆振東部地震」等大規模な災害が相次いで発生し、各観光地において深刻な影響を及ぼした。観光庁では、これら災害による風評被害等の影響を最小限に留めるべく、各種観光支援策を講じた注2。