第3節 建築物の安全性確保

第3節 建築物の安全性確保

(1)住宅・建築物の生産・供給システムにおける信頼確保
 平成19年に施行された改正「建築基準法」により、建築確認・検査の厳格化が図られたが、建築確認手続の停滞が生じ、建築確認件数が大幅に減少するなどの影響があったことなどを踏まえ、建築確認審査の迅速化・申請図書の簡素化等を図るため、22年及び23年の二度にわたって建築確認手続等の運用改善を実施した。
 24年8月には、国土交通大臣が社会資本整備審議会に対し、「今後の基準制度のあり方」について諮問し、同年9月より同審議会建築分科会に設置された建築基準制度部会において特に見直し要請の強い項目について優先して検討を進めた。このうち、「住宅・建築物の耐震化促進方策のあり方」については、25年2月に第一次答申を取りまとめ、これに基づき、同年11月に改正「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が施行された。
 また、「木造建築関連基準等のあり方」及び「効率的かつ実効性ある確認検査制度等のあり方」については、同年2月に第二次答申を取りまとめた。これに基づき、27年6月に「建築基準法の一部を改正する法律」が施行された。
 建築士に係る施策としては、建築物の質の向上や安全・安心を担う建築士を将来にわたって安定的かつ継続的に確保するため、30年12月に公布された「建築士法の一部を改正する法律」の施行に向けた取組みを行っている。
 さらに、新築住宅に瑕疵が発生した場合にも確実に瑕疵担保責任が履行されるよう、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」に基づき、建設業者等に資力確保(保証金の供託又は瑕疵保険の加入)を義務付けることとし、消費者への普及啓発等に取り組んでいる。
 なお、30年度に同制度の今後の見直しに向けた継続的な検討の場として、有識者による「制度施行10年経過を見据えた住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討会」において、これまでの課題のフォローアップや、今後の見直しに向けた意見交換を行っている。

(2)昇降機や遊戯施設の安全性の確保
 昇降機(エレベーター、エスカレーター)や遊戯施設の事故原因究明のための調査並びに地方公共団体及び地方整備局職員を対象とした安全・事故対策研修を引き続き行うとともに、昇降機の適切な維持管理に関する指針等の積極的な活用及び既設エレベーターへの戸開走行保護装置の設置の促進等についての周知を行い、安全性の確保に向けた取組みを進めた。


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