第1節 ICTの利活用による国土交通分野のイノベーションの推進

■2 自動運転の実現

 国土交通大臣を本部長とする「国土交通省自動運転戦略本部」において、自動運転に関する重要事項を検討し、自動運転の実現に向けた環境整備、自動運転技術の開発・普及促進及び自動運転の実現に向けた実証実験・社会実装の3つの観点から、平成30年12月に今後の取組みについて公表を行った。
 自動運転の実現に向けた環境整備については、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の自動運転に係る基準等について検討を行う各分科会等の共同議長又は副議長として議論を主導している。自動運転の主要技術である自動ハンドルについて、平成30年10月には車線変更に関する基準を発効し、手放しの状態での車線維持等に関する基準策定に向けて検討を開始するなど、着実に国際基準の策定を進めている。国内においても、30年4月に策定された自動運転に係る制度整備大綱を踏まえ検討を実施し、31年1月にとりまとめた、自動運転車等の設計・製造過程から使用過程にわたる総合的な安全確保に必要な制度のあり方に係る交通政策審議会報告書に基づき、「道路運送車両法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出する等、必要な制度整備に取り組んでいく。
 一方、自動運転技術の開発・普及促進については、衝突被害軽減ブレーキが一定の性能を有していることを国が確認し、その結果を公表する「性能認定制度」を平成30年3月に創設する等の取組みにより、衝突被害軽減ブレーキ等一定の安全運転支援機能を備えた車「安全運転サポート車(サポカーS)」の普及啓発・導入促進に取り組んでいる。また、高速道路の合流部等での情報提供による自動運転の支援や、自動運転を視野に入れた除雪車の高度化についても取り組んでいる。
 さらに、自動運転の実現に向けた実証実験・社会実装については、ラストマイル自動運転による移動サービスに関する公道実証を実施したほか、中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービスに関する長期間(1〜2ヶ月)の実証実験を平成30年11月から実施するとともに、ニュータウンにおける自動運転サービスの実証実験を31年2月から実施している。加えて、31年1月より新東名高速道路においてトラックの隊列走行における後続無人隊列システムの実証実験(後続有人状態)を実施した。


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