令和元年版 国土交通白書 はじめに

令和元年版 国土交通白書 はじめに

 「平成」から「令和」へ。新しい時代を迎え、夢や希望に満ちた21世紀の新しい社会を切り拓き、次世代に引き継いでいくことは、この時代に生きる我々に課された責務である。そして、そのためには、現時点において、過去を振り返りつつ、これからの方向性について、整理して考えることが必要である。

 我が国は、長い歴史を持ち、様々な時代を経験してきた。戦後の高度経済成長期などを経て、特に、平成に入ってからは、バブル経済の終焉を迎え、低成長時代となり、少子・高齢化の進展、人口減少社会の到来など、大きな転換期を迎えている。こうした中、情報通信技術(ICT)や省エネ技術等が大きく進展し、携帯電話やパソコン、LED等の普及により、我々のビジネスやライフスタイルも大きく変化しつつある。

 また、日本人の意識も変わりつつある。我が国においては、万葉の時代から長い年月をかけて、「自然」、「歴史・文化」、「和」等を大切にする「日本人の感性(美意識)」が培われてきた。最近の意識調査によれば、昨今、改めて、この「日本人の感性(美意識)」が見直されつつある。

 これからの時代は、人工知能(AI)、IoT等のデジタル技術による社会経済の生産性や利便性の向上などが進展し、人々の「時間的・場所的制約からの解放」が進む一方、自然や芸術・文化、歴史・伝統など、「日本人の感性(美意識)」に響く「心の豊かさ」が重視される時代となろう。
 今後の国土交通政策は、国民の安全・安心の確保や持続的な経済成長を支える強靭なインフラ整備等を基礎としつつ、「技術の進歩」や「日本人の感性(美意識)」を踏まえた上で、新しい時代の要請に応え、国民生活の向上を図るものとして展開していく必要がある。

 こうした観点から、本白書の第I部では、「技術の進歩」と「日本人の感性(美意識)」に関して、平成における変化等を振り返りつつ、新しい時代に求められる国土交通政策の方向性について、整理する。

 また、第II部では、国土交通行政の各分野の動向を政策課題ごとに報告する。


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