第I部 進行する地球温暖化とわたしたちのくらし〜地球温暖化対策に向けた国土交通行政の展開〜 

3 エネルギーの面的利用の促進や未利用エネルギー等の活用

(エネルギーの面的利用の促進)
 地区・街区レベルの複数の建物でエネルギーを利用することにより、エネルギー利用を効率化し、地区全体のエネルギー消費量を削減することができる。これは、スケールメリットを活かした高効率な設備の導入や、エネルギー利用に時間差がある複数の建物でのエネルギーの融通、蓄熱・蓄電システム等によるエネルギー利用の平準化等により、設備の能力を充分に活用した効率的な運転を行うことができるためである。
 例えば、東京の晴海地区では、地域冷暖房の導入により、一般ビルに比べて28%の省エネを実現し、横浜市新横浜地区では、改修によって複数建物間で熱融通を行うことにより、改修前に比べて18.2%の省エネを実現している。
 日本の都市では、エネルギーの面的利用は、地区レベルにとどまっているが、ヨーロッパの主な都市では、蒸気や高温水等によって熱を融通する熱導管ネットワークが都市レベルで張り巡らされている。日本でも、平成18年度よりエネルギーの共同利用を行っている複数の地区を接続する取組みが始まった。19年度の名古屋駅周辺の事業では、都市開発と併せて、二つの地区の熱供給プラントを熱導管で結ぶことにより、地区全体の約1割のCO2排出量の削減が見込まれている。
 
図表I-2-3-19 諸外国の熱導管ネットワーク

図表I-2-3-19 諸外国の熱導管ネットワーク
 
図表I-2-3-20 名古屋駅周辺エコまちネットワーク整備事業

図表I-2-3-20 名古屋駅周辺エコまちネットワーク整備事業

(未利用エネルギー等の活用)
 工場や廃棄物焼却等の廃熱、下水汚泥由来の固形燃料やバイオガス、河川や下水等の温度差エネルギー等の未利用エネルギー、太陽光発電や風力等の自然エネルギーを活用することにより、さらに、環境負荷を軽減することができる。例えば、東京都では、電力会社と連携し、炭化した下水汚泥を石炭代替燃料として火力発電所で発電に利用する取組みを実施している。また、下水道バイオガスについて、長岡市では、ガス会社と連携し、都市ガスの原料として供給しており、神戸市では、天然ガス自動車の原料として供給する事業を平成20年4月より開始することとしている。
 
図表I-2-3-21 下水道における未利用エネルギーの活用事例

図表I-2-3-21 下水道における未利用エネルギーの活用事例

 このようなエネルギーの面的な利用や未利用エネルギー等の活用を促進することにより、都市のエネルギー環境を改善し、CO2排出量の少ない都市整備を推進する必要がある。

 

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