第I部 進行する地球温暖化とわたしたちのくらし〜地球温暖化対策に向けた国土交通行政の展開〜 

コラム 集約型の都市づくりに向けた取組みの事例

(青森市―市街地の拡大抑制とまちなか再生)
 青森市は、市街地の拡散、中心市街地の空洞化とそれに伴う施設整備や除雪費用の増大という課題を抱えていました。市では、昭和45年から平成12年までに約13,000人が既成市街地から郊外部に転出したことに伴う道路や上下水道などの施設整備コストは、約350億円に達すると試算しています。
 これに対して、市では、平成11年に「青森市都市計画マスタープラン」を定め、「無秩序な市街地の拡大抑制」と商業の活性化とコミュニティの再生を図る「まちなか再生」という2つの視点に立って、コンパクトなまちづくりを進めてきました。その結果、減少が続いていた中心市街地の居住人口が10年ほど前から増加に転じるとともに、青森駅前地区を中心に歩行者通行量が増加するなど、一定の効果が現れ始めています。
 

青森市の市街地の広がり 昭和55年と平成12年の比較
 

青森市中心市街地地区の人口の推移
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パサージュ広場

(富山市―次世代型路面電車(LRT)整備とまちなか居住の推進)
 富山市では、郊外への人口移動に伴って中心部の人口が減少するとともに、市街地の拡散が進んできました。これに対し、市街地の拡散は、中心部のにぎわいの低下を招くだけでなく、行政コストも増大させるとの試算のもと、富山市では、次世代型路面電車(LRT)に代表される公共交通の整備とともに、まちなか居住を推進しました。これによって、減少してきた中心部の人口は、下げ止まりが見られるようになっています。
 公共交通については、旧JR富山港線の廃止を受けて誕生したLRTのようなハード面の整備と併せ、運行車数の増発や、65歳以上の高齢者に割安の路線バス定期券を販売する「お出かけ定期券」、運転免許証を自主的に返納した65歳以上の高齢者に公共交通利用券を支給する制度など、ソフト面の施策によって、高齢者の足の確保を進めました。これによって、LRTの乗降客数は、平成18年の開業後1年目で、平日ではJR時代の2.2倍、休日には5.3倍となりました(注)
 

富山市の市街地の広がり 昭和55年と平成12年の比較
 

富山市都心地区の人口の推移
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富山ライトレール(LRT)


(注)富山市と国土交通省の共同調査。LRT開業前の平成17年11月と開業後の18年10月に調査を実施

 

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