第I部 進行する地球温暖化とわたしたちのくらし〜地球温暖化対策に向けた国土交通行政の展開〜 

3 国際連携の強化

 このような国内での対策に加え、我が国の知見と技術を活用した国際的な協力にも積極的に取り組んでいる。例えば、国土交通省を始めとする日本政府の協力のもとで、2007年(平成19年)12月にアジア・太平洋地域における水問題を話し合う初めての首脳級の会合である「第1回アジア・太平洋水サミット」が、大分県別府市において開催された。水サミットでは、「水の安全保障:リーダーシップと責任」という全体テーマのもと、国の発展、政策といった観点から議論が展開され、「発展途上国がMDGs(ミレニアム開発目標)(注)の水と衛生に関する目標を達成できるよう、支援を行う」「発展途上国による、気候変動への適応を支援するために、直ちに行動を起こす」ことなどを提言する「別府からのメッセージ」が発表された。
 これを受けて国土交通省では、途上国への支援強化について検討を進めている。例えば、日本政府が、2008年(平成20年)3月にツバルに派遣した気候変動に伴う海面水位の上昇や水資源の問題などに関する調査団に国土交通省からも参加し、気候変動の適応策を実施するに当たっての必要な支援を検討するなど、積極的な対応を進めているところである。また、水資源について、土地やその他関連資源との調整を図りながら開発・管理していく統合水管理に関する我が国の優れた知見や先進的な技術について、研修などを通じてアジア諸国を中心に移転を進めているところである。
 
堰の維持・管理手法を技術移転するワークショップの状況(スリランカ 2007年12月)

堰の維持・管理手法を技術移転するワークショップの状況(スリランカ 2007年12月)


(注)2000年(平成12年)の国連ミレニアムサミットで採択された「国連ミレニアム宣言」に従って、国連事務総長が取りまとめた2015年(平成27年)までに国際社会が達成すべき8つの目標。目標7「環境の持続可能性の確保」の一つとして、「2015年までに、安全な飲料水を継続的に利用できない人々の割合を半減する」ことが求められている。

 

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