第II部 国土交通行政の動向 

3 社会資本の高齢化時代における戦略的な維持管理・更新

 我が国の社会資本は、戦後の高度経済成長とともに着実に整備され一定のストックを形成するに至っているが、今後は、こうしたストックのうち高齢化したものの割合が急速に増加するという課題に直面することになる。
 従来の我が国における社会資本の維持管理は、ストックの「年齢」が全般的に若く、機能的な信頼度が直ちに大きく損なわれるような懸念が少なかったことから、損傷等が発生するたびに事後的に対処してきた。
 しかしながら、将来、高齢化したストックの割合が増大していくと、致命的な損傷が発生するリスクが飛躍的に高まることから、こうした事後的な対処で万全を期すことは困難である。また、厳しい経済情勢の中で人口減少や地域活性化等の政策ニーズに的確に対応していくためには、高齢化したストックも含め、これまで蓄積されたストックを様々な工夫により最大限活用していくことが不可欠である。
 
図表II-1-2-2 建設後50年以上経過する社会資本の割合

図表II-1-2-2 建設後50年以上経過する社会資本の割合

 このため、ストックの状態を点検し、異常が認められれば、致命的欠陥が発現する前に速やかに措置し、寿命を延ばすことによりライフサイクルコストの低減を図るという「予防保全的管理」を導入する。
 また、新たな政策ニーズへの対応に際しては、「あるものを上手に使う」という考え方に立ち、既存ストックに対しできるだけ少ないコストで機能を高度化し、新規整備と同等の効果を得る「ストック活用型更新」をより重視していく。
 
図表II-1-2-3 予防保全対策を考慮したライフサイクルコストの低減

図表II-1-2-3 予防保全対策を考慮したライフサイクルコストの低減

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む