第II部 国土交通行政の動向 

2 公共工事の品質確保や入札契約の適正化

(1)公共工事の品質確保の促進
 「公共工事の品質確保の促進に関する法律(公共工事品確法)」を踏まえ、国土交通省では、公共工事の更なる品質確保を図るため、金額ベースで9割超の工事において総合評価方式(注1)を実施し、総合評価方式の着実な拡大を図るとともに、工事における加算方式の試行の拡大や、建設コンサルタント業務等における総合評価方式の試行を行った。
 品質確保への支障、下請へのしわ寄せ等が懸念されるダンピング受注に対しては、施工体制確認型総合評価方式や特別重点調査等の対策を引き続き実施し、対策前と比較して低入札価格調査の対象件数が大きく減少している。また、工事以外のダンピング受注にも的確に対応するため、建設コンサルタント業務等においても低入札価格調査制度を導入した。さらに、従来の完成時点や中間時点だけでなく、施工プロセス全体を通じて工事実施状況等の確認を行い、これを検査に反映させる「施工プロセスを通じた検査」の試行を開始した。
 地方公共団体においては、都道府県、政令指定都市を中心に総合評価方式の導入が進みつつあるが、小規模な地方公共団体では依然として普及していない。このため、地方公共団体向け総合評価実施マニュアルの活用や、総合評価方式導入に要する費用の支援等を行い、発注体制が脆弱な地方公共団体における総合評価方式の導入を推進するとともに、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度を適切に導入・活用し、ダンピング受注の排除を徹底するよう要請している。

(2)入札契約の適正化
 入札契約制度の一層の改善を図るため、国、地方公共団体等において、一般競争入札の拡大及び総合評価方式の拡充、一般競争入札の拡大に向けた条件整備としての入札ボンド(注2)の活用、設計・施工一括発注方式やCM方式(注3)等の多様な発注方式の活用を推進している。
 国土交通省では、一般競争入札の対象工事を予定価格7.3億円以上から段階的に拡大しており、平成19年度には1億円以上の工事を対象とすることとした。また、18年度に先行導入した入札ボンドについては、19年度は試行対象を7.2億円以上のすべての工事に拡大した。さらに、多様な発注方式の活用については、引き続き設計・施工一括発注方式やCM方式等の試行を行うとともに、新たに詳細設計付施工発注方式の試行を開始した。今後、地方公共団体においても入札契約の適正化へ向けた取組みが適切に行われるよう、関係省庁と連携を図っていく。


(注1)技術提案に基づき、価格に加え価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定する方式
(注2)入札参加者に対して、金融機関等による審査・与信を経て発行される契約保証の予約的機能を有する証書の提出を求める制度
(注3)コンストラクション・マネジメント方式。コンストラクションマネージャー(CMR)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理等の各種のマネジメント業務の全部又は一部を行う方式

 

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