第II部 国土交通行政の動向 

4 観光旅行の促進のための環境の整備

(1)休暇の取得促進・学校休暇の柔軟化等
 休暇の取得と一体となった国内旅行の需要を喚起する諸方策について、平成19年2月より「国内旅行需要喚起のための休暇のあり方懇談会」を開催し、同年6月に最終報告を取りまとめた。
 また、(社)日本ツーリズム産業団体連合会は、特定の時季に集中しがちな連続休暇の分散化を促進するため「秋休みキャンペーン」を実施し、19年度は、ポスター等の広報活動等を実施した。

(2)ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光の促進
 ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光を促進するため、平成18年から「ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光促進事業検討委員会」を開催して課題の整理を行い、これを踏まえて20年3月に旅行商品及び観光地のユニバーサルデザイン化のためのガイドラインを策定した。今後は、シンポジウムの開催により一般消費者に対する啓発活動を実施することとしている。

(3)観光地の情報提供のためのシステム開発等
 観光客への情報提供の高度化による移動支援の先進的な取組みを支援するため、様々な観光情報提供手段が補完・連携できるような実証実験(まちめぐりナビプロジェクト)を実施しており、平成19年度は31地域を選定した。

(4)旅行取引の多様化に対応した消費者保護への取組み
 旅行に関する電子商取引市場の規模の拡大、技術の進歩に伴う形態の多様化に対応するため、平成18年に「旅行業における電子商取引に係る検討委員会」を立ち上げ、旅行取引における電子商取引を巡る消費者保護上の課題の整理、インターネット等による旅行契約の手順の標準化、「旅行業法」の適用関係の整理等を行った。これを踏まえ、旅行業者に対しインターネットにおける取引に関し周知徹底を図るとともに、消費者に周知した。

(5)海外旅行者の安全の確保
 国土交通省は、外務省等と緊密な連絡をとりつつ、海外旅行者に対する渡航情報の周知徹底や、旅行業者の緊急連絡体制の整備を図っている。
 また、旅行者の海外における危機及び安全対策に関する知識の向上を図るため、リーフレットを活用した周知、啓発活動を進めている。さらに、平成19年度においては、国内外からの危険情報入手・安否確認方法についての実態調査等を実施した。

(6)新たな旅行形態の創出等
 新たな顧客ニーズや地域の観光資源の特性を踏まえた「ニューツーリズム」の創出・流通促進を行うことで、観光を通じた地域の活性化、将来に向け成長可能性の高い観光産業の発展、旅行を通じた新たなライフスタイル創出と真に豊かさを実感できる国民生活の実現を図るべく、長期滞在型観光、エコツーリズム、ヘルスツーリズム等の地域独自の魅力を生かした「ニューツーリズム」の創出と流通を促進するため、データベースの構築や実証事業の実施等により「ニューツーリズム」市場の形成を支援している。
 また、日本の歴史が育んできた文化や産業遺産等の観光資源を掘り起こし、活用することは、魅力ある観光地の形成や観光交流の活性化に資する。
 このため、平成19年4月に有識者からなる「文化観光懇談会」を開催し、訪日外国人旅行者が歴史や文化に触れ体験することにより、理解を深め、知的欲求を満たす手法を引き続き検討している。
 さらに、産業遺産等を活用した産業観光については、国内外からの観光客の誘致を積極的に図り、さらに推進するため、先進事例の調査等を行い、広く関係者に周知した。

(7)観光統計の整備
 従来の観光統計は、1)官民の様々な主体が各々の手法・目的で統計を作成しており、包括的な統計が存在しない、2)統計作成の上での統一的な基準がなく、地域間の比較ができない等様々な問題点が指摘され、観光政策の立案や検証に十分活用できていない。さらに、平成17年に開催された「観光統計の整備に関する検討懇談会」において、観光統計の体系的な整備の必要性が指摘され、宿泊旅行に関する統計を緊急に整備すべきとする提言がまとめられた。こうした現状を踏まえ、19年3月末から「宿泊旅行統計調査」(承認統計)を四半期ごと(第1回は19年1月〜3月期)に実施し、都道府県単位で比較可能な延べ宿泊者数・延べ外国人宿泊者数等のデータを把握・公表している。また、19年10月より、都道府県間で比較可能となる新たなガイドラインの作成やTSAの導入について検討を行っている。

 

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