第II部 国土交通行政の動向 

4 広域ブロックの自立・活性化と地域・国土づくり

(1)広域ブロックの自立と活性化
 我が国の持続的な発展を図る上では、その活力の源泉である地域の活力の向上が不可欠であり、意欲のある地域の活性化に向けた取組みについて、民間、公共を含め、地域の知恵と工夫を引き出しつつ、総合的に施策を展開することが重要となっている。
 一方、我が国の国土像として、東京中心の一極一軸型の構造から、広域ブロックがそれぞれの資源を最大限に活かした特色ある地域戦略を描くことにより、自立的な圏域を形成し、各ブロックが相互に、またアジア地域等と直接に交流・連携することで活力ある国土を形成する、広域ブロック自立型の国土構造への転換を目指すことが必要となっている。
 このような状況を踏まえ、民間と連携した地域発意の計画に基づき、広域的な経済活動等を支える基盤整備と地域づくりに対するソフト面での支援等を一体的に促進するための地方の自主性と裁量性の高い財政支援制度として、平成19年度に地域自立・活性化総合支援制度を創設した。
 地域自立・活性化総合支援制度は、都道府県が作成する広域的地域活性化基盤整備計画に基づき年度ごとに一括して交付金を交付する「地域自立・活性化交付金」と、広域的地域活性化基盤整備計画と密接に関連する直轄事業等に対して年度途中に機動的な予算措置を講ずる「地域自立・活性化事業推進費」(20年度より「国土形成事業調整費」)で構成され、地域の自立・活性化を支援している。これまで37地域の広域的地域活性化基盤整備計画に基づく事業に対し交付金を交付し、そのうち16地域については推進費を配分している。

(2)地域の拠点形成の促進
1)振興拠点地域の整備
 「多極分散型国土形成促進法」に基づき、地方において特色ある産業、文化等の機能が集積する拠点として振興拠点地域の整備を推進している。
2)業務核都市の整備
 首都圏整備計画に位置付けられている業務核都市(注)においては、業務の立地や諸機能の集積が進展しつつあり、東京中心部への過度の集中の是正等に一定の効果を上げているところであり、引き続き整備を推進している。
3)筑波研究学園都市・関西文化学術研究都市の建設
 「筑波研究学園都市建設法」に基づき、科学技術の集積等を活かした都市の活性化等を目指し、筑波研究学園都市の建設を推進している。平成17年開業のつくばエクスプレスは、予想を上回る利用が続き、沿線の都市開発や研究等における交流が活発化している。
 また、「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づき、近畿圏における文化学術研究の新たな展開の拠点形成を目指し、関西文化学術研究都市の建設を推進している。18年3月に策定された「サード・ステージ・プラン」を踏まえ、19年4月に「関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針」を変更し、関係省庁、地元自治体、経済界等と連携を取りながら、更なる都市建設の推進を図っている。
4)大阪湾ベイエリアの開発整備
 世界都市にふさわしい機能と良好な居住環境等を備えた地域とするため、「大阪湾臨海地域開発整備法」に基づく整備計画の実施を推進している。

(3)国会等の移転の検討
 国会等の移転については、平成11年12月に移転先候補地の選定等に関する国会等移転審議会答申が国会報告され、国会での検討に委ねられている。国土交通省としても、国会における検討に必要な協力を積極的に行うとともに、国民への広報に取り組んでいる。


(注)東京都区部以外の地域で、その周辺の相当程度広範囲の地域の中核となるべき都市(14拠点)

 

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