第II部 国土交通行政の動向 

7 地域特性を生かした交流拠点づくり・まちづくり

(1)地域に密着した各種事業・制度の推進
1)道の駅
 「道の駅」は道路の沿線にあり、駐車場・トイレ等の「休憩機能」、道路情報や地域情報の「情報発信機能」、地域と道路利用者や地域間の交流を促進する「地域の連携機能」の3つを併せ持つ施設で、平成19年8月現在868箇所が登録されている。
 
図表II-3-2-6 道の駅登録数の推移

図表II-3-2-6 道の駅登録数の推移
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2)かわまちづくりの推進
 桜づつみ等のように、地域の自治体、住民が積極的に植樹を行い、地域における水と緑のネットワーク等を形成する「川の森づくり」や、川の駅に代表されるように、再生、地域活性化等の観点から積極的かつ円滑に河川空間の活用を推進する「都市の川を活用した賑わいの創出」を実施している。
 また、地下構造物への浸出水や下水処理水等を都市の水路・河川等に導水する「清澄な水が豊かに流れる川の復活」や、活動の拠点や散策路等のネットワーク、案内システムの構築等を実施する「地域の風土・文化に触れるかわづくり」等を推進している。
3)地域住民の参加による地域特性に応じた河川管理
 河川環境について専門的知識を有し、豊かな川づくりに熱意を持った人を河川環境保全モニターとして委嘱し、河川環境の保全・創出、秩序ある利用のための業務や普及啓発活動をきめ細かく行っている。また、河川に接する機会が多く、河川愛護に関心を有する人を河川愛護モニターとして委嘱し、河川へのゴミの不法投棄や河川施設の異常の発見等、河川管理に関する情報の収集や河川愛護思想の普及啓発に努めている。
 さらに、市民参加型の河川管理として、河川の特定区間について住民と協定等を結び、清掃・除草等の管理を住民・自治体・河川管理者が協働で行う河川環境管理や、地域に根ざした親しみある水辺空間の形成を図るラブリバー制度を推進している。
4)港湾を活用した地域振興
 地域が「運河」の魅力を再発見し、独自の知恵や工夫により、周辺地域のコミュニティ基盤や観光基盤、さらには災害時の緊急輸送基盤としての機能など、運河を核とした魅力ある地域づくりへの取組みを国が支援する「運河の魅力再発見プロジェクト」を平成19年度に創設し、同年度末現在、10件のプロジェクトを認定している。
 また、知恵と工夫をこらし、地域の活性化に寄与する「みなと」の振興を図る港湾所在市町村等の取組みを支援する「みなと振興交付金」を創設し、19年度末現在、14プロジェクト(17港湾)の「みなと振興計画」を認定している。
 さらに、みなと、海岸の施設やスペースを、地域の情報発信拠点として、また地域の方々や観光客などの交流拠点として活用する「みなとオアシス」の全国展開を推進しており、20年1月末現在、34港が登録されている。また、住民参加型のみなとまちづくりを行う上で、市町村による地域の担い手の育成や、市町村と地域の担い手との協働を支援している。
 このほか、国内・海外からのクルーズ船による観光交流の促進や、海辺での里浜づくり等による地域振興を図っている。
 
図表II-3-2-7 にぎわいの交流拠点となる「みなとオアシス」登録港

図表II-3-2-7 にぎわいの交流拠点となる「みなとオアシス」登録港

5)マリンレジャーの拠点づくり
 マリンレジャーや地域活性化の拠点となっている「海の駅」では、マリンイベントや漁業体験や朝市等、地域の特性を生かした取組みを行っている。一方、海の活動拠点として魅力ある漁港に対しては、プレジャーボートユーザーから利用への要望が高いことから、プレジャーボート利用における適正な利用環境整備を進め、マリンレジャーを核とした地域活性化を図り、拠点のネットワーク化を推進している。

(2)自然・歴史・文化を生かした地域づくり
1)国家的記念事業や我が国固有の文化的遺産の保存・活用
 国家的な記念事業として、又は我が国固有の優れた文化的資産の保存及び活用を図るため、閣議決定を経て設置する国営公園の整備を推進しており、平成19年10月に「こもれびの里」を新たに供用した国営昭和記念公園を始め、5公園が開園している。
2)古都における歴史的風土の保存
 京都市、奈良市、鎌倉市等の古都においては、古都保存法に基づき、建築物等の新・増・改築、宅地の造成等行為の制限を行うとともに、土地の買入れ等の古都保存事業や普及啓発活動等を実施することにより、歴史的風土の保存を図っている。
3)歴史的な公共建造物等の保存・活用
 地域のまちづくりに寄与するために、長く地域に親しまれてきた歴史的な官庁施設の保存・活用を推進しているほか、地域と連携し、歴史的砂防関係施設及びその周辺環境一帯を地域の観光資源の核として位置づけ、環境整備を行うなど新たな交流の場の形成に資する取組みを促進している。
 
地域を守る歴史的砂防設備

地域を守る歴史的砂防設備

4)歴史的風致の維持・再生によるまちづくりの推進
 文化財行政と連携し、歴史的価値の高い文化的な資産と地域の歴史・文化を反映しつつ営まれる人々の活動があいまって形成される歴史的風致の維持及び向上に寄与するまちづくりに対し、法律、予算、税制による市町村に対する総合的な支援制度を創設することを予定しており、第169回国会に「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律案」を提出した。

 

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