第II部 国土交通行政の動向 

4 歩行者・自転車優先の道づくりの推進

1)安全・安心な歩行空間の形成
 人優先の安全・安心な歩行空間を形成するため、通学路を主とした歩道等の整備を推進している。この際、市街地等歩道等の整備が困難な地域においては、カラー舗装や防護柵設置等の簡易な方法を含めた安全・安心な歩行空間の創出に取り組んでいる。また、交通事故発生割合の高い住居系・商業系地区を警察庁と国土交通省が「あんしん歩行エリア」として指定し、都道府県公安委員会と道路管理者が連携して面的・総合的な交通事故抑止対策を推進している。
2)安全・安心な自転車走行環境の整備
 道路管理者と警察が連携し、既存道路空間の再構成等により、歩行者・自動車と分離した自転車走行空間の創出に取り組んでいる。
3)質の高い歩行空間の形成
 歩くことを通じた健康の増進や魅力ある地域づくりを支援するために、豊かな景観・自然、歴史的事物等を結ぶ質の高い歩行空間を形成するウォーキング・トレイル事業を推進しているほか、生活道路を、これまでの自動車優先から歩行者・自転車優先に転換し、安全で質の高い生活空間にするため、「くらしのみちゾーン」(注)等の推進に取り組んでいる。
4)わかりやすい道案内の推進
 地理に不案内な歩行者等に対して、目的地へのわかりやすい道案内手法の導入や各種情報提供手段の連携等による情報提供の充実を推進している。
5)柔軟な道路管理制度の構築
 自動車交通の一層の円滑化と安全に加え、安全な歩行空間としての機能や地域のにぎわい・交流の場としての機能など道路が有する多様な機能を発揮し、沿道住民等のニーズに即した柔軟な道路管理ができるよう、道路法が改正された。これにより、1)地域住民の日常生活の利便性の向上等を目的とした市町村による国道又は都道府県道の管理、2)市町村による歩行安全改築の要請制度、3)NPO等が設置する並木、街灯等に係る道路占用の特例、4)道路と沿道施設を一体的に管理するための道路外利便施設の管理の特例等が可能となった。


(注)外周を幹線道路に囲まれているなどのまとまりのある住区や中心市街地の街区等において、一般車両の地区内への流入を制限して身近な道路を歩行者・自転車優先とし、併せて無電柱化、緑化等の環境整備を行い、交通安全の確保と生活環境の質の向上を図ろうとする取組み。平成19年10月末現在、55地区が登録されている。

 

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