第II部 国土交通行政の動向 

コラム コウノトリと人が共生する環境の再生を目指して〜円山川における自然再生〜

 兵庫県北部の豊岡盆地は、国の特別天然記念物であるコウノトリの我が国最後の生息地でしたが、昭和46年に最後の野生個体が死亡し、日本に棲む野生のコウノトリは絶滅しました。その一方で、40年から人工飼育によるコウノトリの保護増殖が進められ、地域をあげた長年にわたる努力の結果、飼育数は順調に増えてきました。
 そこで、そのコウノトリを野生に帰し、人と自然が共生する環境を取り戻すことを目標に、コウノトリの野生復帰実現のための環境整備の推進等を基本指針とする「コウノトリ野生復帰推進計画(国土交通省、兵庫県、豊岡市等)」を平成15年3月に策定しました。
 このような地域の取組みの一環として、豊岡盆地を流れる円山川では、17年11月に「円山川水系自然再生計画」を策定し、治水対策とあわせて、コウノトリと人の共生する環境づくりを目指しコンクリート護岸化された河川の自然再生を図るとともに、コウノトリの餌となるドジョウや昆虫類等の小動物が生息できる多様な自然環境の復元を目指した湿地の再生などの整備を推進しています。
 こうした取組みの中で、17年9月には秋篠宮殿下・同妃殿下をお迎えし、約3,500人が見守る中、5羽のコウノトリが放鳥されました。そして、18年9月に放鳥されたコウノトリのひな1羽が、19年7月に国内では46年ぶりに豊岡の大空に巣立ちました。
 今後とも、地域住民と連携して、コウノトリを始めとする多様な生き物たちと人々が共生する河川環境の再生を目指した取組みを進めていきます。
 

コウノトリの放鳥式典
 

コウノトリの巣立ち

 

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