第II部 国土交通行政の動向 

3 水をはぐくむ・水を上手に使う

(1)安全でおいしい水の確保
 我が国は水道が普及し、水道の水をそのまま飲める世界の中でも数少ない国であるが、近年は、国民の安全でおいしい水へのニーズは更に高まってきている。このため、水質の悪化による異臭味や有害物質の河川流出等に対応するため、支川等からの水を浄水場取水口の下流にバイパスさせたり、水道水源域におけるダムや河道内での水質浄化、下水道の普及促進、高度処理の導入促進、合流式下水道の改善対策等を実施するなど、おいしい水の確保と水質に関するリスクの回避・軽減を図っている。

(2)雨水の浸透対策の推進
 古来、日本の各地で清浄な湧水が見られたが、近年、流域の都市開発による不浸透域の拡大の影響で、降雨が地下に浸透せず短時間で河川に流出する傾向にある。降雨をできるだけ地下に浸透させ、地下水を涵養し、湧水の復活等を図るため、個人住宅への雨水浸透ます、浸透トレンチ、貯留タンク等の設置を進めるとともに、団地、公共施設における浸透施設の設置を進めている。

(3)地下水対策の推進
 これまで産業目的等で地下水が過度に汲み上げられた結果、各地で地盤沈下、塩水化等の地下水障害が発生した。地下水障害が広範囲に発生した濃尾平野、筑後・佐賀平野、関東平野北部においては、地盤沈下防止等対策要綱に基づき、地下水の保全と利用の適正化を図っている。

(4)雑用水利用の推進
 総合的な水資源対策の一環として、下水等の再生水や雨水を水洗トイレ用水、散水等に利用する雑用水利用を推進している。現在、全国に約3,000施設があり、使用水量は生活用水全体の約1%である。今後、利用施設の実態調査や融資制度(注)による普及を促進していく。


(注)日本政策投資銀行によるエコビル整備への融資

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む