国土交通省ロゴ

国土交通白書 2020

第1節 我が国を取り巻く環境変化

第1節 我が国を取り巻く環境変化
■1 人口減少・高齢化と経済動向

(1)人口減少と高齢化の加速

(我が国の人口と高齢化率の推移)

 我が国の総人口は、戦後から増加が続いていたが、2008年(平成20年)の1億2,808万人をピークに減少に転じ、2019年10月現在では1億2,617万人となっている。

 年齢構成別では、15~64歳人口(生産年齢人口)が1995年の8,716万人をピークに減少に転じ、2019年には7,507万人まで減少している。一方、65歳以上人口は増加が続いており、2019年には3,589万人となっている。これは、2000年の2,201万人と比較すると63.1%の増加である。これに比例して、65歳以上人口が総人口に占める割合(高齢化率)も2000年の17.4%から2019年では28.4%まで上昇している。また、特に75歳以上人口の増加が著しく、2000年に900万人であった人口は2019年では105.5%増の1,849万人、総人口に占める割合は14.7%となっている(図表I-1-1-1)。

図表I-1-1-1 我が国の人口の推移と65歳以上人口の内訳
図表I-1-1-1 我が国の人口の推移と65歳以上人口の内訳
Excel形式のファイルはこちら

(我が国の出生数の推移)

 我が国の合計特殊出生率注1は2005年(平成17年)に戦後最低の1.26を記録した後、上昇傾向となり2015年には1.45となったが、2018年は1.42となっている。一方で出生数は減少傾向にあり、2000年の119万人から2018年には92万人まで減少している注2(図表I-1-1-2)。

図表I-1-1-2 出生数と合計特殊出生率の推移
図表I-1-1-2 出生数と合計特殊出生率の推移
Excel形式のファイルはこちら

(人口と高齢化率の国際比較)

 主要先進国(G7)の人口推移を見ると、米国、カナダ、英国、フランスは年率0.5%~1.0%程度の水準で増加が続いている。ドイツとイタリアは近年横ばいで推移しており、日本は他国に先駆けて人口減少に転じていることがわかる(図表I-1-1-3)。

図表I-1-1-3 主要先進国の人口推移
図表I-1-1-3 主要先進国の人口推移
Excel形式のファイルはこちら

 G7の高齢化率についても、2000年(平成12年)頃は日本と欧州諸国が同程度の水準であったが、日本は他国に比べて急速に高齢化が進展し、2005年以降は世界で最も高い水準となっている(図表I-1-1-4)。

図表I-1-1-4 主要先進国の高齢化率推移
図表I-1-1-4 主要先進国の高齢化率推移
Excel形式のファイルはこちら

(2)世帯構造の変化

(世帯数の推移)

 2008年(平成20年)に我が国の人口は減少に転じた一方で、世帯総数は増加が続いている。2018年では5,099万世帯となり、2001年の4,566万世帯から11.7%増えている。これは、「単独世帯」や「夫婦のみの世帯」など小規模な世帯の割合の増加が要因となっている(図表I-1-1-5)。

図表I-1-1-5 世帯構造と世帯数の推移
図表I-1-1-5 世帯構造と世帯数の推移
Excel形式のファイルはこちら

(65歳以上の者がいる世帯の推移)

 特に65歳以上の者がいる世帯において、「単独世帯」や「夫婦のみの世帯」の割合が高まっている。このうち、65歳以上の者のみの世帯数は2001年(平成13年)の664万世帯から2018年には1,404万世帯と111.6%増えている(図表I-1-1-6)。

図表I-1-1-6 65歳以上の者がいる世帯の世帯構造と世帯数の推移
図表I-1-1-6 65歳以上の者がいる世帯の世帯構造と世帯数の推移
Excel形式のファイルはこちら

(3)国内経済の動向

(GDPの推移)

 我が国の国内総生産(GDP)は2002年度(平成14年度)以降、緩やかに上昇を続けた後、リーマンショック注3の影響により2008年度と2009年度にマイナス成長となった。しかし、その後は緩やかな上昇傾向にあり、2019年度には実質GDPは533兆円となった(図表I-1-1-7)。

図表I-1-1-7 我が国の実質GDPと成長率の推移
図表I-1-1-7 我が国の実質GDPと成長率の推移
Excel形式のファイルはこちら

(GDP構成の変化)

 GDPは民間最終消費支出や民間企業設備、政府最終消費支出といった需要項目ごとに構成されており、民間最終消費支出が全体の約6割を占めている。2001年度(平成13年度)から2018年度にかけては、輸出や輸入の割合が高まる一方、公的固定資本形成の割合が低下するなどの変化が見られる(図表I-1-1-8)。

図表I-1-1-8 実質GDPの構成(支出側項目)の推移
図表I-1-1-8 実質GDPの構成(支出側項目)の推移
Excel形式のファイルはこちら
  1. 注1 15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性が一生の間に生む子どもの数に相当する。
  2. 注2 厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計の年間推計」によると、2019年の出生数は86万人と推計されている。
  3. 注3 米国大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻を契機として一気に深刻化した世界的な金融危機