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国土交通白書 2020

第4節 交通政策の推進

■2 持続可能な地域旅客運送サービスの提供の確保に資する取組みの推進

 地域公共交通に関する施策については、平成26年に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を改正し、地域の総合行政を担う地方公共団体が先頭に立って、関係者と適切に役割分担しながら、まちづくりや観光振興等の地域戦略と連携しつつ、地域にとって最適な公共交通ネットワークの形成を、関係者の合意の下で実現していくための枠組みを構築した。

 同法に基づき、令和元年度末までに585件の地域公共交通網形成計画が国土交通大臣に送付され、38件の地域公共交通再編実施計画が国土交通大臣の認定を受けるなど、持続可能な地域公共交通ネットワークの形成に向けた取組みが進められてきた。

 一方で、人口減少の本格化、運転者不足の深刻化等に伴って、公共交通サービスの維持・確保が厳しさを増している中、高齢者の運転免許の返納が年々増加する等、地域の暮らしと産業を支える移動手段を確保することがますます重要になっている。

図表II-2-4-2 地域公共交通の現状と課題
図表II-2-4-2 地域公共交通の現状と課題

 このため、令和元年9月より交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会を5回にわたり開催し、令和2年1月に中間とりまとめ「持続可能な地域旅客運送サービスの提供の確保に向けた新たな制度的枠組みに関する基本的な考え方~地域交通のオーバーホール~」がとりまとめられた。この中では、地域ごとに地方公共団体が中心となって、国が予算面やノウハウ面から支援を行いつつ、既存の公共交通サービスについて、最新技術等も活用しつつ、その改善を図ることに加え、公共交通だけでは対応できない場合には、自家用有償旅客運送、福祉輸送、スクールバス等の多様な輸送資源を総動員して、地域の移動ニーズにしっかり応えられる体制を強化すべき、との方向性が打ち出された。

 これを受け、国土交通省では、「持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組みを推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案」を第201回国会に提出し、令和2年5月に成立した。

 同法による新たな枠組みの下で、地方公共団体による地域公共交通計画等の策定や、それに基づく鉄道・バス等の確保・充実の取組みに対し、予算・ノウハウ面等で引き続き必要な支援を行っていく。

図表II-2-4-3 地域公共交通活性化再生法等改正の概要
図表II-2-4-3 地域公共交通活性化再生法等改正の概要