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国土交通白書 2020

第2節 自然災害対策

コラム 「住民自らの行動に結びつく水害・土砂災害ハザード・リスク情報共有プロジェクト」~災害を“わがこと”として受け止めてもらうためのメディア連携施策~

 国土交通省では、「平成30年7月豪雨」をうけ、「住民自らの行動に結びつく水害・土砂災害ハザード・リスク情報共有プロジェクト」として行政とメディアが連携し、住民の“逃げ遅れ”を防ぐ取組みをとりまとめました。令和元年東日本台風などにおいても住民の自らの避難行動に結びつく情報提供を推進してきたところであり、以下に代表的な施策の取組状況を紹介します。

1)「逃げなきゃコール」で家族へ避難を呼びかけ

 「逃げなきゃコール」とは、スマートフォンアプリやショートメッセージサービス(SMS)を活用し、プッシュ型で家族の住む地域の防災情報を入手して、離れて暮らす高齢者等の家族に危険が迫った場合に、家族が直接電話をかけて避難を呼びかける取組みです。本取組みは、NHK、ヤフー(株)、KDDI(株)と国土交通省が連携し、昨年6月よりポスターやインターネット等で普及活動を実施しています。KDDI(株)の調査によると、昨年の令和元年東日本台風では同社から配信された災害・避難情報を確認した後、「54%」が家族等に連絡を取り、また、連絡を受けた家族等のうち「58%」が避難行動をとっていました。このことから、本取組が大雨の際の避難行動のきっかけとして、一定の効果を表していることが分かります。これからも引き続き住民自らの避難行動につながる取組みを進めていきます。

図-1 逃げなきゃコール広報ポスター
図-1 逃げなきゃコール広報ポスター
図-2 逃げなきゃコールイメージ
図-2 逃げなきゃコールイメージ

2)河川の専門家による洪水状況の解説

 国土交通省では、台風等による洪水の注意喚起や今後の注意点等を地方整備局と地方気象台が合同でテレビ等を通じて情報発信する取組みを昨年6月より行っております。甚大な浸水被害が発生した令和元年東日本台風でも、複数の地方において緊急会見を開催し、警報の発表状況や河川の水位情報など災害の切迫性を伝えました。

図-3 国交省と気象庁の合同記者会見
図-3 国交省と気象庁の合同記者会見

3)ケーブルテレビを通じた身近な河川の情報発信

 ケーブルテレビ事業者が有する地域密着性というメディア特性を活かして、身近な河川・ダム情報や河川監視カメラ映像等の河川情報を住民に届け、的確な避難行動につなげる「地域防災コラボチャンネル」の取組みを推進しています。

 昨年5月には、国土交通省水管理・国土保全局と日本ケーブルテレビ連盟が協定を締結し、社会実験としてケーブルテレビ連盟に加盟している18事業者が各地域に密着した防災情報の放送に向けた取組みを進めており、昨年の令和元年東日本台風の際にも、複数のケーブルテレビにて河川の水位情報やダムの放流映像など放送し、洪水の切迫性を発信しました。

図-4 ケーブルテレビを活用した情報配信例(INC長野ケーブルテレビ)
図-4 ケーブルテレビを活用した情報配信例(INC長野ケーブルテレビ)