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国土交通白書 2020

第2節 自然災害対策

コラム 「令和元年東日本台風による洪水に対し、治水事業が効果を発揮」

 令和元年東日本台風では、全国140箇所(うち国管理河川12箇所)で堤防が決壊するなど、甚大な被害が発生しましたが、そういった中でも、これまでに整備していた治水施設が浸水被害の防止・軽減に効果を発揮しました。

【狩野川放水路の整備効果(事例)】

 狩野川放水路は昭和23年のアイオン台風を契機として昭和26年に着工し、その後、昭和33年の狩野川台風による甚大な被害を受けて計画を見直し、昭和40年に完成しました。令和元年東日本台風は、狩野川流域において、狩野川台風よりも多くの雨をもたらしましたが、狩野川放水路で狩野川本川の洪水を分派し、分派下流地点の沼津市や三島市等を流れる本川水位を低下させることができました。

 昭和33年狩野川台風では、狩野川流域において死者・行方不明者853人、家屋浸水6,775戸の甚大な被害が発生しましたが、令和元年東日本台風では、狩野川本川からの氾濫を防ぐことができ、人的被害をゼロ、家屋の浸水被害も内水等による約1,300戸に抑えることができました。

狩野川放水路の整備効果(事例)

【利根川上流ダム群の整備効果(事例)】

 利根川の治水基準点である群馬県伊勢崎市の八斗島地点の上流においては、利根川上流ダム群(矢木沢ダム、奈良俣ダム、藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム、下久保ダム、試験湛水中の八ッ場ダム)が、約1億4,500万m3の洪水を貯留しました。

 これらのダムの貯留により、八斗島地点では、約1mの水位が低下したものと推定されます。

利根川上流ダム群の整備効果(事例)