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国土交通白書 2020

第1節 インフラシステム海外展開の促進

第9章 戦略的国際展開と国際貢献の強化
第1節 インフラシステム海外展開の促進
■1 政府全体の方向性

 新興国を中心とした世界の膨大なインフラ需要を積極的に取り込むことにより、我が国の力強い経済成長につなげていくため、政府は平成25年3月に「経協インフラ戦略会議」を設置し、国土交通大臣を含む関係閣僚が政府として取り組むべき政策を議論している。同年5月には同会議において「インフラシステム輸出戦略」を取りまとめ、22年時点で約10兆円であった我が国企業によるインフラシステムの受注を令和2年に約30兆円とすることを目標とし、毎年度改訂している。

 27年5月には、今後5年間で約1,100億ドルの「質の高いインフラ投資」をアジア地域に提供することを盛り込んだ「質の高いインフラパートナーシップ」が安倍総理より発表された。政府は、本パートナーシップを通じて、民間の資金・ノウハウを更に動員し、質・量ともに十分なインフラ投資の実現を目指していくこととされた。

 28年5月のG7伊勢志摩サミットに先立ち、安倍総理から発表された「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」により対象地域がアジアから世界全体に拡大され、今後5年間で約2,000億ドルの資金を供給する方針が示された。同サミットでは、「質の高いインフラ投資」の基本的要素について国際社会で認識を共有することが重要との点で一致し、「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」に合意した。

 30年11月のAPEC貿易・投資委員会では、「開放性」、「透明性」、「経済性」、「対象国の財政健全性」等のインフラの質を確保する5要素が確認され、引き続き関係国にこれらのコンセプトの浸透を図っていくことが求められた。

 令和元年6月、日本が初めて議長国を務めたG20大阪サミットでは、新興ドナー国を含む G20メンバー国が今後の質の高いインフラ投資に関する共通の戦略的方向性と高い志を示すものとして「質の高いインフラ投資に関するG20原則」が承認された。